抗議文(2004年1月27日)

2004年1月27日

内閣総理大臣
 小泉 純一郎 様

石川県平和運動センター
 代表 嶋垣 利春 

抗 議 文

 昨日1月26日、石破防衛庁長官は小泉首相の決定を受け、陸上自衛隊本隊と物資輸送の海上自衛隊に戦地イラクへの「派遣」命令を出した。自衛隊発足50年目を迎えた今、陸海空全自衛隊で約1100人の隊員がついに他国領土に武器を持って踏み込むことになったのである。明らかに「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とした憲法9条を踏みにじる行為に他ならず、断じて許すことはできない。
 今回の派兵命令は、わずか3日間の陸上自衛隊先遣隊の現地調査による「安全宣言」を受けて出されたものである。しかし、サマワでの警察官の襲撃や店舗の爆破、自衛隊発注部品輸送中の運転手殺害事件などを見ただけでもこの「安全宣言」がいかに現実から目をそらし、隊員の生命を軽視したものであるかは明らかである。「非戦闘地域への派遣」という「イラク特措法」さえも無視した、まさにブッシュ大統領との「派遣約束」ありきの決定と言わざるをえない。
 そもそも、イラクへの武力攻撃は、国際法も国連の承認も無視した米英軍による侵略戦争である。さらに攻撃の最大の理由とした大量破壊兵器の存在そのものが米国の調査チームによっても否定されている。小泉首相は「大義」なき米英の侵略戦争と違法な占領行為に加担するため、ついに「中東にエネルギーの多くを依存するわが国」の「国益」に言及した(1月19日、首相施政方針演説)。まさに「満蒙は日本の生命線」と煽りたてて中国侵略を拡大した日本軍国主義の再来である。
 日本国憲法は前文において「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやう」決意し、主権が国民にあることを宣言している。私たちは戦後59年を経て再び戦争への道を突き進む小泉政権の蛮行を絶対に許すわけにはいかない。イラクからの陸上自衛隊先遣隊、航空自衛隊、及び海上自衛隊の撤退と「派遣」命令の即時撤回を求める。
 日本が今なすべきことは、米英などのイラク占領軍を撤退させ、国連など国際機関やNGOの人々と連携した非軍事によるによる協力を強化し、イラク人自身の手による復興を支えていくことである。これこそが国際社会や中東諸国の信頼を回復する道であり、私たちは今後とも全国各地の平和勢力と連帯し、平和憲法に立脚した運動を一層強化することをここに表明する。