2016.12.31までに「がん」または「がんの疑い」と診断された人は、1巡目で116人、2巡目で69人、計185人

原発事故後の甲状腺検査 がん診断の4歳男児報告されず

3月30日 20時24分

原発事故のあと、福島県は18歳以下の子どもを対象に甲状腺検査を行っていて、健康への影響を検証する専門家の委員会に報告しています。しかし、事故当時4歳の子どもががんと診断されたのに、委員会に報告されていないことがNHKの取材でわかりました。福島県は現在の仕組みでは、県の検査のあとにがんと診断された患者は報告の対象になっていないとしていて、専門家は「正確な情報を明らかにして分析するのが使命で、事実はきちんと報告し、公開すべきだ」と指摘しています。

原発事故のあと、福島県は福島県立医科大学に委託して、放射性ヨウ素の影響を受けやすいとされる事故当時18歳以下の子ども、およそ38万人を対象に、超音波でしこりの有無などを調べる甲状腺の検査を実施しています。

県は検査の結果を健康への影響を検証する専門家の委員会に報告し、昨年末までにがんやがんの疑いがあると診断された人が、当時5歳から18歳までの185人いると発表しています。

しかし、これまでで最年少の事故当時4歳の子どもが、この検査のあとにがんと診断され、甲状腺を摘出したことを県立医科大学が把握していたのに、委員会に報告されていないことがNHKの取材でわかりました。

検査は一次検査と二次検査の2段階で行われ、県や県立医科大学は「報告の対象は二次検査までにがんやがんの疑いと診断された患者で、二次検査で継続して推移を見守る『経過観察』とされたあとにがんと診断されたり、別の医療機関に移って、がんが見つかったりした患者たちを網羅的に把握することは困難なため報告していない」と説明しています。

2年前に委員会のメンバーが、こうした仕組みの問題点を指摘した際、県立医科大学は検査後にがんと診断された患者については「別途、報告になる」と説明していましたが、報告されていなかったことになります。

委員会の委員で、福島大学の元副学長の清水修二特任教授は「正確な情報を明らかにして分析するのが使命で、隠しているという疑念を生じさせないためにも、どういう経緯であっても患者が確認されれば、きちんと事実として公開すべきだ」と指摘しています。

甲状腺がんとは

甲状腺は、のどぼとけの下にあるちょうが羽を広げたような形をした、重さ10から20グラム程度の小さな臓器で、成長の促進に関わるホルモンを分泌する働きがあります。

原発事故後、懸念されたのが、この甲状腺が事故で放出された放射性物質の一つ、「放射性ヨウ素」を取り込んで引き起こす「甲状腺がん」です。

特に成長過程の子どもは体内で細胞が活発に分裂を繰り返しているため、傷ついた細胞の遺伝子の修復が進みにくく、影響を受けやすいとされています。

旧ソビエトのチェルノブイリ原発事故では、周辺地域の住民が主に牛乳や乳製品などを通じて「放射性ヨウ素」を取り込んだとされていて、国連の専門委員会は、およそ6000人が甲状腺がんになり、2006年までに15人が死亡したという報告書をまとめています。

当時18歳以下のすべての子どもが検査対象

原発事故のあと、福島県は福島県立医科大学に委託をして、事故当時、県内に住み、18歳以下だった38万人のすべての子どもたちを対象に甲状腺検査を行っています。

検査は国がおよそ780億円を拠出した基金を活用して行われ、20歳になるまでは2年に1回、その後は5年に1回実施されます。
検査は2段階にわけて行われ、学校などで行われる一次検査では、首に超音波をあてて甲状腺にしこりなどがないかを調べ、4段階の判定を行います。

一定の大きさ以上のしこりなどがあると判定されると二次検査を受け、詳しい検査を受けることになります。
二次検査では超音波検査や血液検査のほか、必要に応じて穿刺(せんし)吸引細胞診と呼ばれるしこりに直接針を刺す検査を受け、良性か悪性かを診断します。

平成23年10月から1巡目の検査が行われ、平成26年から2巡目現在は3巡目の検査が行われています。

先月(2017.2)公表された最新データでは、2016年12月31日までに「がん」または「がんの疑い」と診断された人は、1巡目で116人2巡目で69人合わせて185人います。

事故当時の年齢は5歳から18歳までで、最年少は去年6月に公表された5歳の男児とされています。

検討委員会委員「調査の信用落ちるおそれある」

検討委員会に報告されないがん患者がいることが明らかになったことについて、専門家は甲状腺検査に対する信頼性が揺らぐおそれがあると指摘しています。

甲状腺検査の検査結果は、がんの専門医や大学教授など専門家15人で構成される検討委員会に定期的に報告され、原発事故との関連性などについて科学的な立場で検討が行われています。

検討委員会はおととしと去年、原発事故後に福島県内で確認された甲状腺がんについて、「総合的に判断して、放射線の影響とは考えにくい」とする取りまとめを公表しました。

報告書の中でその理由として、被ばく線量がチェルノブイリの原発事故と比べてはるかに低いこと、チェルノブイリで相次いだ5歳以下の子どもに甲状腺がんが発見されていないこと、それにチェルノブイリでは事故の5年後以降にがんの発見が相次いだのに対して、福島では1年から4年と短いことなどを挙げていました。

その後、去年6月の検討委員会で、5歳の男の子に初めて甲状腺がんが確認されたと公表しましたが、「放射線の影響とは考えにくい」という見解は変えていません。

検討委員会の委員で、福島大学の元副学長の清水修二特任教授は、これまでで最年少となる当時4歳の子どもにがんが見つかったことについて、「年数がたてばがんになる確率も上がるので、特に意外でも奇異なことでもない」と述べ、冷静に受け止めるべきだと強調しました。そのうえで、報告されていないがん患者がいたことについて、「正確な情報を明らかにして分析するのが使命で、どういう経緯であっても患者が確認されれば、個人情報に十分に配慮したうえで、きちんと事実として公開すべきだ。そうしなければ隠しているという疑念を生じさせ、調査全体の信用が落ちるおそれがある」と指摘しています。

福島県「委員会の議論を踏まえて公表を検討」

公表していないがん患者がいることについて、福島県立医科大学は、経過観察を行っている中で、がんが診断された場合や甲状腺検査以外のきっかけで、ほかの医療機関で検査や診療を受けてがんと診断された場合などは、検査の担当部署では情報を持っていないとしています。
そのうえで、医療機関にがん患者のデータの届け出を義務づけた「地域がん登録」の制度が、より精度の高い情報を収集、公表していると説明しています。

県立医科大学で甲状腺検査の責任者を務めた医師は、NHKの取材に対して「二次検査のあとの経過観察でがんと診断された患者の多くが、その後も県立医科大学で治療を受けているが、全員を網羅しているわけではない。公表によってかなり恣意的(しいてき)なことが起こるので慎重にするべきだ。患者のためということでは一点の曇りもなくやっている」と話しました。そのうえで、検査のあとの経過観察などで、がんと診断された患者を公表しない仕組みになっていることについて、「どう対応するかは課題で、私が責任者の時から問題点がずっと残っていた」と述べました。

甲状腺検査を県立医科大学に委託している福島県県民健康調査課は「検査のあとの経過観察などで、がんが判明した場合、公表データに入らないことは承知している。そういう患者がいる可能性はあるが、個別のケースは把握していない。委員会の議論を踏まえて、今後、公表を検討することになる」と話しています。

 

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2018年度用教科書検定に関わる平和フォーラム見解

2017年3月27日

2018年度用教科書検定に関わる平和フォーラム見解

フォーラム平和・人権・環境

(平和フォーラム)

共同代表 川野浩一

福山信劫

藤本泰成

 3月24日、文部科学省は2018年度から実施される「特別教科・道徳」の使用教科書および主に高校2・3年用教科書の検定結果を公表した。小・中学校で初めて正式の教科となる「道徳」は、小学校全学年で8社から24点(66冊)が合格し、2018年度から使用されることとなった。

検定では、誤記や事実誤認も含めて244の修正意見が付いたが、指導要領の細かな項目を反映しているかなど細部にわたるものが多く、「字面だけで判断している」との批判も聞こえる。パン屋を和菓子屋へ、公園を和楽器店へなどのように、教育基本法を意識した「わが国の郷土と文化」重視の視点が強調されている。また、文科省が使用してきた教材を全社が引用するなど「横並び感」が強まっている。道徳を教科とし評価することに、国家への忠誠を求め内心に踏み込んだ戦前の「修身」の復活と懸念されてきたが、多様性を否定する検定は、懸念をより深めることになっている。

同時に発表された、高校教科書の検定では、集団的自衛権の行使容認と安全保障関連法の記載に対して、行使の前提となる「存立危機事態」「他に適当な手段がない」「必要最小限度の実力行使」という「新3要件」の記載を求めている。また、2015年末の「慰安婦」問題の日韓合意や領土問題での政府見解の記載、南京事件の犠牲者数については「通説的見解がない」と記載するよう検定意見がついた。2014年1月の検定基準の改定に伴って「政府見解」に基づく記載が強く意識されている。

この教科書検定に先立つ2月14日、2020年度から順次実施される小・中学校分の「学習指導要領」が発表された。「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の導入を柱として、知識や技能の獲得を中心とした現在のあり方から一歩進んで、自ら学ぶ姿勢を大切にする方針が打ち出された。個性重視の教育を中心に据えているが、しかし、今回の教科書検定のあり方は、多様な価値観を認めそれぞれの個性を重視し、自由で主体的であろうとする教育からはほど遠い。

世界の各地で紛争が絶えず、貧困と格差が蔓延し難民問題が各国を席巻する「不確実」で「不寛容」な世界にあって、多様な意見を認め合い、多面的に世界を捉え、主体的に物事を判断していく力は重要であり、そのことが現実の問題を解決し未来を切り拓くものであると考える。

今回の検定がつくり出した道徳の教科書は、型にはまった常識的な価値観を強要するものであり、高校の歴史教科書などは日本政府の一方的なものの見方をすり込むものとしか見えない。「いじめは悪い」と教えられ、「年寄りには席を譲る」と教えられて、人間は成長するだろうか。「尖閣諸島(釣魚群島)や竹島(独島)は日本の領土」と一方的に教えられて、中国や韓国などと一緒にアジアの未来を切り開けるのだろうか。一定の価値観や歴史観、規範意識を国が押しつけることの危険性を、私たちは歴史の中で学んできたはずではないか。国定教科書が廃され教科書検定制度に変更されたことの意味を考え、そこにもう一度立ち戻って教科書とは何か、教育とは何かを考えなくてはならない。

平和フォーラムは、教科書検定制度の弾力化・透明化を求め、主権者としての個人の自立を求める民主教育の確立に向けて、今後も粘り強くとりくんでいく。

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大阪高裁の高浜原発運転差し止め仮処分取り消しの決定に抗議する

2017年3月29日

大阪高裁の高浜原発運転差し止め仮処分取り消しの決定に抗議する

原水爆禁止日本国民会議(原水禁)

議長 川野浩一

2016年3月9日に、大津地裁(山本善彦裁判長)が出した関西電力高浜原発3・4号機の運転差し止めの仮処分決定に対して関西電力が運転再開を求めた保全抗告について、3月28日、大阪高裁(山下郁夫裁判長)は、関西電力の訴えを全面的に認める決定を行った。

「基準値振動700ガル」「耐震補強工事」、解析によって確認したとする「耐震性」「津波は原発の重要施設に影響しない」など、関西電力の主張のほとんどを「相当の根拠に基づいている」として追認している。大津地裁が「福島第一原発事故の原因究明が不十分な中で作られた規制基準」として「基準を満たしただけでは不十分」とした国の定めた新規制基準についても、大阪高裁は「事故原因は一部未解明だが基本的なことは明らかであり、教訓を踏まえた新規制基準は合理的」との判断を下した。原発再稼働へ一点の曇りもないとする、新たな「安全神話」をつくり出そうとしている。原子力規制委員会は、新規制基準は「最低限の条件」であり、田中俊一委員長自ら、新規制基準を満たしても「安全とは言わない」と表明してきた。新規制基準を絶対視するような司法判断を許すことはできない。

大阪高裁は、様々な問題を抱え一旦過酷事故が起きれば混乱必至の避難計画さえ「いまだ改善の余地がある」としながらも、検討していることを理由に追認している。そして、避難計画を規制対象にしていないことも合理的と言い切っている。市民の「いのち」に対する視点は完全に欠如している。また、大阪高裁は、「新規制基準が不合理だとする立証責任は住民側にある」とした。これまで、国策として実施されてきた原子力政策は、その情報のほとんどを市民に知らせることなく、秘密主義を貫いてきた。未だに福島第一原発事故の原因究明が進まない理由の一つに、その秘密主義が上げられる。秘密裏に原発は運用され、その結果としての事故によって被害を受けるのは市民であり、事故収束や賠償の費用を賄うのも市民である。その市民に、立証責任を求めることこそ不合理ではないのか。

これまで原発の危険性が数多く指摘され、原発の運転や建設を止めようとする多くの訴訟が起こされてきた。そこには、自らの「いのち」を守ろうとする市民社会の思いがある。司法は、原発停止による電力不足など社会的・経済的影響に鑑みて、原発の停止や建設を止める判断を回避してきた。しかし、2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故以降、全国全ての原発が停止しても電力不足は起こらず企業活動への影響もほとんど見られなかった。一方で放射性物質の拡散した地域における経済活動や市民生活、文化とコミュニティーに対する影響は計り知れないものがあった。6年を経て、帰還困難区域ではいまだ避難生活を強いられ、帰還が許されたとされる地域においても、いまだに元の生活に戻ることはできない。その中で「脱原発」の声は市民社会を圧倒する意見として定着しつつある。原発には、高レベル放射性廃棄物処分やプルトニウムを利用する核燃料サイクル計画など多くの問題が付随している。司法は、原発政策の全体を俯瞰し、日本社会の将来を展望し、そして真摯にフクシマと向き合って、市民の「いのち」を守るところから判断しなくてはならない。

大阪高裁判決は、司法の責任や立場・役割を省みることなく、国の政策や企業の営利活動を全面的に支持する全くの「不当判決」である。原水禁は、この決定を普遍なものとしないように、そして「脱原発社会」を実現するように、全力でとりくんでいくことを確認する。

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~体制翼賛化する報道~ 共同通信客員論説委員 岡田允さん

20170324120013尖閣と領土ナショナリズム  チラシ

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「組織犯罪処罰法等一部改正案」の閣議決定に関する連合事務局長談話

2017年03月21日
「組織犯罪処罰法等一部改正案」の閣議決定に関する談話

日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人

    1. 安倍内閣は、本日、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画の罪(テロ等準備罪)」を創設する組織犯罪処罰法一部改正案を閣議決定した。政府は、本法案について、過去3回廃案となった同法改正案に盛り込まれた「共謀罪」をテロ対策の必要性を強調した罪名に変更しながら、衆議院予算委員会などにおいて従来の共謀罪とはまったく別のものであるかのような説明を繰り返してきた。こうした政府の対応は、本法案への国民の疑念に真摯にこたえておらず、遺憾である。
    1. 本法案は、(1)テロ等準備罪の新設、(2)証人等買収罪の新設、(3)犯罪収益の前提犯罪の拡大や贈賄罪及び関係罰則の国外犯処罰規定の整備などを主な内容としており、その立法目的を、2000年11月に採択された「国際犯罪防止条約(TOC条約)」を批准するための国内法の整備としている。同条約では、凶悪化する越境組織犯罪を撲滅するため、重大な組織的犯罪への参加や合意、資金洗浄や贈収賄、司法妨害等の行為を犯罪化することを求めている。
    1. 連合は、過去廃案となった組織犯罪処罰法改正案に盛り込まれた「共謀罪」の創設について、(1)行為の団体性の明確化、(2)団体の犯罪的性格の明示、(3)行為の越境性の要件化、(4)顕示行為を必要とすること、(5)密告制度を導入しないこと、(6)対象犯罪を限定すること、の6項目にわたる修正を求めるとともに、TOC条約の趣旨と現行国内法との関係を整理することが国会審議の前提であるとしてきた。テロ対策の重要性が高まる中、国民生活の安全・安心の確保に向けた法整備は必要であり、また、TOC条約が目的とする越境組織犯罪の防止は積極的に推進すべきものであるが、本法案は前記の整理が不十分なまま提出されている。一般の企業や労働組合、団体などが処罰の対象となりうる懸念や、拡大解釈の恐れ、行きすぎた捜査手法による人権侵害が起こりうる可能性など、多くの不安が払拭されていない。
  1. 連合は、これまでの考え方を堅持しつつ、今後の国会審議において、労働組合や市民団体などの正当な活動が不当に監視や処罰の対象となることがないよう、民進党と密に連携し、すべての不安の払拭と十分かつ慎重な国会審議が行われるよう全力で取り組んでいく。
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盗聴・盗撮・GPS捜査など、警察にフリーハンドを与える「共謀罪」

2017年03月21日共謀罪の閣議決定について(持論公論)

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GPS捜査、違法 「個人の行動を継続して網羅的に把握する捜査・・・プライバシーを侵害する」

2017年03月15日 (水)

「GPS捜査で最高裁判決 捜査と人権の両立は」(時論公論)

清永 聡  解説委員

  • 令状がないまま容疑者の車にGPS端末を取り付ける捜査に、最高裁判所大法廷は「違法だ」という判断を示し、新たな法律を整備するよう求める判決を言い渡しました。
    ●個人情報を収集する技術が急速に進む中で、捜査と人権をどう両立させるか。最高裁大法廷の判断が持つ意味を考えます。

【解説のポイント】

解説のポイントです。
●GPS端末を使って居場所を確認する捜査。どのように行われていたのでしょうか。
●こうした捜査を「違法」だと判断した大法廷の判決と、「令状主義」について。
●最後に司法によるチェック機能のあるべき姿を考えます。

【事件のGPS捜査と裁判】
●今回裁判で争われたのは、大阪や九州で発生していた窃盗事件でした。大阪府警は、裁判所の令状を取らずに、被告などの車やオートバイ19台に密かにGPS端末を取り付け、居場所を把握していました。期間は長いもので3か月、位置情報の検索は1200回に及びました。
●争われたのは、GPS端末を捜査に使うなということではありません。猛スピードで走行する捜査対象の車を無理に追いかければ事故の危険もあり、安全に居場所を把握できる手法としては有効だとする考え方もあります。
●裁判で議論になったのは、その際に裁判所の令状を取るべきか、警察だけの判断でできる令状が不要な捜査かということでした。
●被告の弁護士は「24時間居場所が特定される」「日常生活や交友関係まで把握されるのは深刻なプライバシーの侵害だ」などと主張していました。これに対して検察は「いわば尾行の補助的な手段だ」「プライバシー侵害の程度は小さい」などと反論していました。
●1審は「重大な違法があった」と判断し、2審は逆に「重大な違法ではない」と正反対の判断になりました。同じような裁判は全国で起こされ、各地で判断が分かれてきました。

【大法廷の判断は】
●最高裁判所大法廷の寺田逸郎裁判長は判決で、令状がないままGPS端末を使った捜査を行うことを「違法」だとする初めての判断を示しました。最高裁大法廷が警察の捜査を違法だと判断したのは異例です。
●この判決には2つポイントがあります。1つは、「個人の行動を継続して網羅的に把握する捜査手法はプライバシーを侵害し、憲法が保障する重要な権利も侵害する」と指摘したことです。さらにもう1つは「GPS端末を使った捜査が今後も広く使われるのであれば法律を作ることが望ましい」と新たな立法を求めた点です。
●判決を受けて警察庁はGPS端末を使った捜査を今後控えるよう、全国の警察本部に指示する通達を出しました。判決によってGPSによる捜査はストップすることになりました。

【大法廷が取り上げた「令状主義」】
●最高裁判所の中でも大法廷が開かれるのは年数回。憲法違反かどうかや極めて重大なケースの場合などに限られます。窃盗事件の捜査手法をめぐってなぜ大法廷が開かれたのかと疑問に思う人もいるかもしれません。
●これは「令状主義」という憲法に関わる内容が含まれたことが、理由の1つと見られます。令状主義は捜査機関による肉体的、精神的な自由に制限を加える強制処分は、裁判所が判断した令状が必要だという考え方です。司法が中立的な立場でチェックすることで、乱用に歯止めをかけ、基本的な人権を保護するという意味があり、憲法にも記されています。

【進む技術と令状主義】
●今、個人を識別する技術は急速に進んでいます。特に携帯電話やスマートフォン、タブレット端末は、いわば個人情報の塊です。
●携帯電話などには、GPS機能が搭載され、端末の位置を把握できるものも多くあります。また、通話を傍受し、メールやSNSをのぞき見れば、その人の考え方、趣味、交友関係、宗教など、あらゆる個人情報が丸裸にされてしまいます。
●こうした情報も捜査ではすでに使われています。ただし、その際にも令状主義は前提になっていて、対象によってはさらにルールが設けられています。
●このうち、捜査機関が携帯電話の位置情報を知りたいときは、令状を取ることがすでにガイドラインで定められています。
●また、通話などはプライバシー侵害の程度が大きいため、「通信傍受法」でさらにルールが定められています。令状を取ることに加え、対象になる犯罪を限定し、毎年、実施状況を国会に報告することなどが決められています。それでもこの法律は、去年対象となる犯罪の数が増えたため、プライバシーの侵害を懸念する声が少なくありません。
●今回最高裁が求めた、GPS端末の捜査についての法律の整備も、裁判官だけでは、チェックが不十分になる恐れがあると判断したためで、今後は、行きすぎた情報の取得にならないよう、ルール作りを急ぐ必要があります。

【司法のチェック機能は】
●最後に、令状主義について指摘しなければならない点があります。それは裁判所が、どこまでチェック機能を果たしているのかということです。
●GPSの捜査などで用いられる検証許可状、それに捜索、差し押さえなどといった令状を求められた件数は、去年1年間に全国で24万7千件近くあります。
●これに対し裁判所が認めずに却下した件数は48件でした。単純に割合を計算すると0.02%になります。
●個別の事件ではそれぞれ事情があり、件数ですべてを評価することはできません。また、このほかにも、捜査側が自ら取り下げたケースが5600件ほどあります。この2つを足したとしても、2.3%です。
●どこまでチェック機能を果たしているか、疑問も残ります。
●私は今回の判決が、最高裁から令状を出す全国の裁判官に対して、チェック機能と「人権の擁護」いう司法の役割を、もっと自覚するよう促す意味もあると考えます。
●今回の判決でも3人の裁判官が補足意見を述べ、「今後、法律ができるまでの間、GPS捜査に対して令状を出すことがあるとしても、判決の内容も十分配慮した上で、慎重に判断をしてほしい」と求めています。
●もし、裁判官が捜査当局に言われるまま、求められるままに令状を出してしまえば、憲法の令状主義も、今回の判決も、骨抜きになってしまいかねません。

【捜査と人権の両立を】
●テロなど、組織的な犯罪を防止することは、今後、ますます重要になってくると言われています。一方で、こうした新たな技術を、捜査対象の「監視を強める」ために使うこともありえます。それだけに、国民の安全を確保する一方で、乱用を防ぐチェック機能は欠かせません。
●今回の最高裁の判決は、どれだけ技術が進歩しても変わらない、捜査による「公共の福祉」と「基本的な人権」を両立させることの大切さを示したのではないでしょうか。

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「組織犯罪処罰法改正案」いわゆる「共謀罪」の閣議決定に対する抗議声明

フォーラム平和・人権・環境

(平和フォーラム)

共同代表 福山真劫

藤本泰成

3月21日、安倍内閣は「組織犯罪処罰法改正案」を閣議決定した。安倍政権は、過去3度廃案となった、いわゆる「共謀罪」に関して、「テロ等準備罪」と称して、「組織犯罪処罰法」への導入を進めている。安倍首相は、「テロ等準備罪(共謀罪)を成立させなければ、テロ対策で各国と連携する『国際組織犯罪防止条約』が締結されず、2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催できない」と主張しているが、国連の立法ガイドは、条約締結に共謀罪などの新たな制度の導入を条件としていない。また、安倍首相はテロ対策を主張するが、国連の立法ガイドでは、対象は経済活動を行う越境的犯罪組織であり、「政治的テロリストグループ」を含まないとされている。政府の説明は破綻している。

日本は「航空機内の犯罪防止条約」「航空機不法奪取防止条約」「爆弾テロ防止条約」などテロ対策の主要な13の条約全てを締結している。国内法においても、「爆発物取締罰則」「内乱予備陰謀罪」「外患に関する予備陰謀罪」「私戦予備・陰謀罪」「殺人予備罪」など、テロの常套手段の多くに対応している。殺人や放火、強盗やハイジャックなど重大犯罪は予備・準備行為でも罰することができることになってる。

「組織犯罪処罰法改正案」が成立するならば、言葉が犯罪とされ、思想が犯罪とされる。組織的犯罪集団の定義も曖昧で、平和や人権問題にとりくむ労働組合や市民団体は、組織的犯罪集団として認定される可能性が高い。通信傍受や会話傍受もあたりまえとされプライバシーは侵害される。自首に対する刑の減免は「密告」を奨励し、日本社会を監視社会へと変貌させる。明日の座り込みの話しが、組織的威力業務妨害の共謀となる。辺野古のキャンプシュワブのゲート前にコンクリートブロックを積み上げたとして威力業務妨害に問われた、山城博治沖縄平和運動センター議長の長期にわたった不当な勾留は、共謀罪成立後の社会を想像させるものだ。市民団体や労働組合の憲法に基づく正当なとりくみを萎縮させる効果を期待しているとしか考えられない。

1925年に「国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的」として結社を組織したり、それに加入した者、国体変革等の目的実行のための協議をした者、目的実行や目的達成のための犯罪を煽動した者、目的達成のための利益供与を行った者を処罰するために成立した「治安維持法」は、緊急勅令という暴挙によって1928年には最高刑に死刑を導入し、当初の目的を拡大し政党の政治活動、労働組合運動、文化運動、学術活動、宗教活動など、国体の護持と戦争の遂行を目的に権力に抗する者たちを徹底して弾圧した。検挙された者は6万7223人、起訴された者は6024人と言われてる。

「組織犯罪処罰法改正案」いわゆる共謀罪は、新たな「治安維持法」と言える。オリンピックとテロ対策を持ち出して国民を欺く安倍政権の共謀罪導入の真の目的は、市民の活動を監視し、憲法に基づく自由な政治活動を取り締まることにある。安倍政権は、明治維新以降の侵略戦争と植民地支配の歴史とそのことを支え市民社会を弾圧した権力構造の問題に学ぶことなく、権力の強化をめざしている。

平和フォーラムは、安倍政権の企みを決して許さず、「組織犯罪処罰法改正案」いわゆる「共謀罪」の廃案に向けて、全力で取り組んでいくことを確認する。

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3.17「共謀罪」新設法案の国会提出断念を求める共同声明

安倍内閣は、「共謀罪」を意味する「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法改正法案を閣議決定し、今通常国会に提出する方針と伝えられています。私たち戦争法廃止!憲法改悪阻止!を呼びかける八団体は、以下に述べるように、この法律改正は国民の基本的人権を著しく侵害する怖れがあり、違憲立法となることから、法案の閣議決定並びに国会提出を断念するよう強く求めるものです。

政府与党は、この間の議論の中で、罪名を「共謀罪」から「テロ等準備罪」に変更し、対象となる犯罪を当初の676から277に絞り込みました。そして、捜査、処罰の対象は、テロ集団や暴力団であって、一般市民を対象とすることはないと説明してきました。しかしながら、組織的犯罪集団とは、定まったものではなく、市民団体もその活動によっては、組織的犯罪集団と定義づけられるとされ、その判断は捜査当局の恣意に委ねられるものです。また、絞り込まれた277の犯罪には、組織的威力妨害罪、背任、所得税法、法人税に関わるものなど一般市民が犯し得る犯罪が含まれていることや、日米地位協定の実施に伴う刑事特別法を加えていることなどから、沖縄をはじめ全国の米軍基地に反対する市民運動が処罰の対象となることが十分に想定されます。従って、「テロ等準備罪」が一般市民に及ばないとの保証はありません。

そもそも、政府与党が「共謀罪」新設の根拠にしてきた国連越境組織犯罪防止条約は、マフィアによる麻薬取引といった国際的に越境する経済犯罪を準備の段階から処罰できるための国際条約であり、条約加盟は、それぞれの国内法規範の枠内での法整備で可能です。これをもって、「共謀罪」の必要性やテロ対策の拠り所にすることはできません。さらには、日本の刑法には、既に72の例外的な陰謀罪、共謀罪、予備罪、準予備罪が制定されており、越境犯罪やテロ行為に対処できる法体系となっています。

したがって、「共謀罪」と同義の「テロ等準備罪」を新たに制定しなければならない立法事実は存在しません。

私たちは、「共謀罪」の新設が、近代刑法の基本的な考え方に則ってきた日本の刑法を根底から覆すものとなる問題を極めて重視しています。それは、国家権力が恣意的な処罰ができないよう、処罰の原則を犯罪の実行に置いてきたものを、社会に侵害を与えない相談・予備の段階から処罰できるようにすることです。これにより、あの治安維持法が猛威を振るった時代のように、市民生活の中に、盗聴や密告、内偵などが常態化し、正当な市民活動や思想信条の自由を破壊する暗黒社会が再現されることを深く憂慮します。いやしくも、日本国憲法において憲法擁護義務を負う政府が、自ら憲法規範を破壊する愚を再び犯してはなりません。

よって、私たちは、日本国憲法が保障する基本的人権の侵害を許さない立場から、

「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法改正を断念させるために、県民と共に声を上げていくことを表明します。

2017年3月17日

戦争法廃止!憲法改悪阻止!を呼びかける八団体

石川県憲法を守る会、石川憲法会議、九条の会・石川ネット、石川県平和運動センター、石川県労働組合総連合、戦争をさせない1000人委員会・石川、戦争をさせない石川の会、青年法律家協会北陸支部

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共謀罪=警察権力による「超」監視社会!

3.19  「テロ等準備罪=共謀罪」の国会上程反対!

街宣(香林坊周辺)、学習講演会(教育会館)、デモ行進(竪町通り小公園まで)

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