総会宣言
63年前、ヒロシマ・ナガサキに投下された原子爆弾は、一瞬にして地上の地獄を作り出し、核時代という不幸な時代の幕を開けてしまいました。そして、いまなお2万7千発余の核兵器が世界に存在し、さらに各地で増え続ける原子力施設によって、人類は核による脅威にさらされ続けています。
2001年に登場したブッシュ政権は、それまでの核軍縮の流れを断ち切り、核の先制使用を正当化し、使える小型核兵器の開発を打ち出しました。2006年には北朝鮮が核実験を強行し、さらにイランの核保有も懸念され、世界はまさに核拡散の危機にあります。被爆国日本は、核廃絶の国際世論形成の先頭に立つべきだと私たちは訴えてきました。しかし、歴代政府の、米国の核の傘に依存しながらの核廃絶の主張は、国際社会では全く説得力をもちません。それどころか政府・与党の政治家からは広島・長崎への原爆投下を容認する発言や、核武装発言が相次いでいます。加えて余剰プルトニウムを44トンも保有しながらも、さらなるプルトニウム生産のために六ヶ所村再処理工場を稼働させようとする政府の原子力政策に、世界各国は核拡散を懸念し、アジア諸国は日本の核武装に疑いの目を向けています。
人類の願いに逆行した一部の核保有国の動き、そして一部の政治家の言動に、自らの命を削りながら核廃絶を訴えてきた被爆者の苛立ちは募ります。ヒロシマ・ナガサキを風化させはなりません。被爆の実相を継承し、石川の原水禁運動をさらに強化していかなければなりません。
原水禁石川県民会議は被爆20年の節目である1965年、ベトナム戦争の戦禍が拡大し、反戦・平和のたたかいが高揚する中で発足しました。しかし43年を経て現在に至るも、人類は平和と核軍縮への確かな道筋を獲得していません。被爆者が高齢化する中で、その権利確立も急務となっています。核の商業利用も拡大し、脱原発への道筋もいまだ築けていません。
県内ではこの間に志賀1、2号機が稼動をはじめました。小松基地でも米軍戦闘機の訓練移転がおこなわれ、日本を米国の核戦略に組み込む米軍再編が進められています。原水禁運動が掲げる非核・平和、ヒバクシャの権利確立、脱原発の課題はますます重要になっていると言わざるをえません。
私たちは本日、原水爆禁止石川県民会議の総会を開催し、新たな組織体制と向こう1年の運動課題を確認しました。6月13日からは珠洲をスタート地点として県内の非核・平和行進がスタートします。一人でも多くの仲間の参加を呼びかけます。そして核の廃絶を一人でも多くの県民に訴えていきたいと思います。本日の総会を新たなスタートとして、すべての核の廃絶と二度とヒバクシャをつくらないたたかいに全力を尽くす決意を参加者一同確認しあい、総会宣言とします。
2008年5月19日
2008年原水爆禁止石川県民会議総会
参加者一同