2009年度方針

2009年度 活動方針

Ⅰ.私たちを取り巻く情勢

               
1.世界最大の軍事大国であり経済大国である米国が、冷戦崩壊以降、軍事力による米国一極支配と新自由主義に基づく経済のグローバル化を推し進め、そして地球規模での暴力と憎悪の連鎖、貧困と格差の拡大、環境破壊と食糧危機、エネルギー危機をもたらしました。「米国はいまや解決ではなく問題をもたらす」との指摘があります。米国との関係強化が、ときには安全保障や国民経済へマイナスに作用する中、EUや中南米諸国、BRICs諸国などは、米国一極集中体制でない新たな秩序を懸命に模索しています。国民の7割が米国のMD配備に反対するチェコ、米軍への基地提供を停止したキルギスなどの動きもあります。米国の再生を掲げるオバマ政権がスタートし、共生と連帯、対話の理念に期待が寄せられる一方で、ブッシュ政権が残した負の遺産はあまりに大きく、新政権の展望は不透明感を増しています。世界はいま、かつての第二次世界大戦後の米ソ冷戦時代、ソ連崩壊後の米国一極集中時代に次ぐ新たな枠組みを模索する時代に入っています。
2.不透明な国際情勢の中、今後の国際情勢を占う鍵として、①米国経済低迷の長期化、構造的衰退、②アフガン戦争の泥沼化、「テロとの戦い」の破綻、③核軍縮、核廃絶をめぐる議論の活発化、④G8の役割の低下、BRICsなどが参加したG20で新たな秩序の模索を開始、⑤金融・経済、軍事で中国の影響力のさらなる拡大、⑥環境、食糧、エネルギー問題を含めた「人間の安全保障」への認識の高まり、などの流れがあげられます。米国は依然として世界の軍事予算の約半分を占める超大国には違いありませんが、オバマ大統領の下、様々なチェンジを模索しつつも、軍事的、政治的、経済的影響力の相対的低下は避けられないものと思われます。
3.まさに世界が歴史的転換点にある中、自公政権はただひたすら米国に追随する外交・安全保障政策に終始し、何ら国際社会で存在感を示せませんでした。「改憲による軍事大国化」と「新自由主義改革路線」を突き進む自公政権は、一部の輸出産業に莫大な利益をもたらす一方で、平和や暮らし、雇用、医療、社会保障、そして地域社会までも破壊していきました。
年越し派遣村はその象徴として、貧困と格差社会の現実を国民の前にクリアに可視化していきました。もはや「経済大国」や「先進国」という評価に値しない日本の現実が国民に突きつけられました。全労働者の3分の1が非正規労働者となり、特に若者の無業あるいは非正規雇用の比率は50%前後となっています。雇用保険制度の改悪と非正規の増加は雇用保険機能の崩壊を招き、いまや失業保険の受給率は20%前後。一旦失業したら即貧困、そしてホームレス生活へ、命の危機へと、まさに湯浅誠さんがいう「すべり台社会」を一気に滑り落ちます。8月に発表された7月の失業率は過去最悪の5.7%、有効求人倍率も0.42倍と過去最悪を更新し、貧困はますます深刻化しています。貧困は教育格差を生み、教育格差は貧困を生む社会構造は貧困の連鎖、固定化、階級社会を生み出しています。
麻生内閣の定額給付金導入について、財政再建団体となった夕張市の小さな市営住宅に住む1人暮らしのおばあさんが、「私より困っている人に税金を使ってほしい」と語ったことは、いまの政治状況を象徴しています。政治家のレベルはその国の民度を表すといわれますが、国民のレベルを大きく下回ったのが自公政権でした。
4.こうした社会情勢の中でおこなわれたのが今回の衆議院選挙です。8月30日には政権交代を求める圧倒的多数の国民の声が民主党に集中し、自民党は歴史的大敗北を喫しました。民意を反映しないたらい回し政権ができたかと思えば無責任に放り投げ、その繰り返しの中で以上のような貧困、格差社会が一気に作られていったわけですから国民の怒りは当然のことです。今回の総選挙で民主党が掲げた個々の政策に対する理解度や支持率が必ずしも高くない中、民主圧勝という選挙結果が生まれた背景には、自公政権がつくりあげた貧困・格差社会に対する明確な批判と、自民党的体質・政治手法では新たな世界情勢と時代状況に対応できないという強い危機感があったことを忘れてはなりません。
5.鳩山首相は選挙期間中、マニフェストについて、有権者との契約であり実現に全力を尽くす、実現できなければ責任をとると明言してきました。マニフェストが選挙向けの空手形であってはならないのは当然ですが、一方で1票を投じた有権者は、マニフェストの全項目に賛意を示したわけではありません。むしろ、たとえ同意できない政策が含まれていようと、国民生活を破壊し続けた自公政権だけは退場させようとの想いから政権交代を選択したのが今回の民意であったと言えます。今後の政権運営にあたっては、マニフェストに書き込んだからと数の力で強行することなく、個々の政策ごとの丁寧な合意形成が求められますし、ときには修正の英断も必要です。
平和運動センターの運動課題に照らしても、エネルギー政策では賛同できない項目も含まれています。外交・平和政策には依然不透明感が漂います。核兵器廃絶に向けたとりくみにはリーダーシップを期待し、非核三原則の法制化や日米密約の真相究明、日米地位協定の見直し、辺野古移設の中止、在日米軍再編計画の見直し、自衛隊の海外派兵の中止などは、明確な対応を求めていかなければなりません。脱原発・プルトニウム利用路線阻止に関しては、住民の安全確保を一番の課題にしつつ、再処理工場やもんじゅが途方もない税金の無駄遣いであることも指摘しながら、政策の転換を求めていかなければなりません。
6.9月16日、民主・社民・国民新党の連立政権が発足しました。政権交代を成し遂げたとはいえ、政策の転換はこれからであり、私たちの運動は道半ばにあります。
今回の選挙戦では各党が暮らしの再建を重点的に訴えたのは当然であり、有権者の関心が集中したことも理解できます。しかし、生活破壊の背景には財政を大きく圧迫する軍事大国化路線があり、そこには国民の人権を制限し、思想信条を統制しようとする管理社会への動きが潜んでおり、さらには連帯や団結を攻撃し、分断し、異議申し立てを許さない強権政治への動きがある事も見逃してはなりません。もちろん米国との関係や近隣諸国をはじめとしたアジアとの関係、さらに国際社会の中での日本の役割も見直さなければなりません。まさに「平和」があってこそ本当の生活再建、暮らしの再建が実現することを平和運動センターはしっかりと訴え、たたかいを進めていかなければなりません。
7.新政権は政策の転換だけではなく、新しい国の統治形態を憲法の範囲内で大胆に見直していこうとしています。政策決定プロセスや予算編成の仕組みも大きく変わると思われます。もちろん政権が代わっても私たちの運動課題が変わるわけではありません。学習を深め、広く大衆運動をつくりあげていく基本姿勢にも変わりはありません。しかし、政治への影響力、政策の実現力をいかに高めるかも大切な課題となります。厳しい組織・財政状況にはありますが、新しい政治情勢下、平和運動センターの役割はますます重要であり、反戦・平和、護憲、脱原発のたたかい前進に向けて、以下の活動方針を提起します。

Ⅱ.反戦・平和、護憲、民主主義擁護の運動強化に向けて

   

1.憲法改悪を許さない取り組み

1.改憲による軍事大国化を押し進める背景には、外的要因としては、冷戦後、地球規模に拡大した軍事戦略による莫大な負担を同盟国への押しつけようとする米国の思惑があり、内的要因としては新自由主義路線で企業の海外展開を積極的に進めた財界からの圧力があります。
  オバマ大統領になっても、同盟国に負担を求める方針に変わりはなく、深刻な財政危機の中、その圧力はむしろ強まるとも思われます。また、新政権は、内需主導型経済への転換を掲げていますが、サブプライム問題以降、むしろ日本企業による海外企業の買収は加速する傾向にあります。海外展開による新市場開拓で競争力強化をもくろむ企業は増えており、財界からの改憲圧力は一層強まることも予想されます。日米両政権が変わっても、改憲の背景にあるこれらの要因に変動はないことを忘れてはなりません。
2.改憲手続法が成立し、2010年5月の施行を控えた今、衆参両院での憲法審査会の始動を阻止し、改憲案の審議や発議を許さない取り組みがなにより求められます。今回の衆議院選挙で当選した新議員は、朝日新聞の調査では改憲に「賛成」、「どちらかと言えば賛成」を合わせて59%(前回87%)とかろうじて3分の2を割り込みました。民主党だけで見れば46%となっています。毎日新聞の調査では「賛成」が68%(前回84%)と3分の2を超えています。憲法9条に関しては反対51%に対し賛成34%となっています。共同通信調査でも改憲賛成が64%となっています。今後の政局の展開によっては憲法審査会が始動し、改憲発議への動きが浮上するとも限らず予断を許しません。
  引き続き憲法審査会を始動させないよう政府・与党の結束を求めていくと同時に、欠陥法である改憲手続法の廃止を求めていきます。
3.憲法を守る会の構成組織として、諸行動に参加していきます。特に11月1日から3日の日程で開催される第46回護憲大会は、新政権下での憲法理念の実現に向けたとりくみを協議し、さらに日米地位協定や米軍再編の見直しや現存する自衛隊の縮小・解体の道筋をどのように描いていくのか、平和勢力内の議論を深める非常に重要な大会となります。長野県での開催ということで、憲法を守る会は100人の参加態勢を組むこととなっています。平和運動センターとしても金沢地区センター含め70人を目標に参加者を募っていきます。
4.平和フォーラムは自衛隊・日米安保条約の現状と憲法理念との乖離を埋め、憲法理念を実現する要として平和基本法の実現に向けた取り組みを進めています。昨年は、平和基本法の提唱者の1人である前田哲男さんらも参加した平和基本法プロジェクトが法案の要綱を公表しました。肥大化した自衛隊をいかに縮小、解体の方向に向かわせるか、日米安保条約をいかに改革するか、軍縮の具体的プログラムを明らかにしていくことは重要です。しかし一方で、自衛隊を過渡的に容認する「最小限防御力」という考え方を中心に、平和基本法を巡っては賛否様々な意見があり、平和運動センターとしても論議を進めていきます。

2.在日米軍再編に反対し、日本の戦争国家化を阻止する取り組み

1.イラク・アフガン戦争は泥沼化し、混迷を深めています。イラクでは7月に米軍が都市部から撤退し、2011年末までに残りの部隊も完全撤退の方針が示されています。しかし、治安の改善は進まず、イラク開戦から6年の傷跡は依然深刻です。アフガニスタンではオバマ政権が駐留米軍を2万1千人増派し、7月2日から大規模掃討作戦を開始しました。タリバーンと駐留軍の戦闘は激化し、戦闘員の死亡が急増しているだけでなく、誤爆や誤射、戦闘の巻き添えによるアフガニスタン住民の犠牲者数も2001年の開戦以来最悪の状況をむかえています。8月中旬、米国で実施された世論調査では、半数以上がアフガン戦争は「たたかう価値がない」と回答し、オバマ支持者の間でも「オバマの戦争」に対する批判の声は高まっています。引き続き、アフガン侵略戦争の中止、海上自衛隊のインド洋での給油活動の即時中止、撤退を求めていきます。
2.オバマ政権の対日安全保障政策が基本的に変わらない中、日本側からの積極的な問題提起や見直しの働きかけが求められます。
在日米軍再編計画の完了期限は2014年となっており、自公政権は今年度の予算に、在沖縄海兵隊基地のグアム移転費用の日本側負担346億円(最終的に60億9000万ドルを負担)を含む計602億円を計上するなど、米国の要請に応え、積極的に再編計画を推進してきました。さらに沖縄防衛局は4月1日、大きな反対運動が続いている普天間基地の辺野古移設・新基地建設について、環境影響評価準備書の公告を強行実施し、来年4月からの埋立て開始に向け、大きく動き始めました。原子力空母ジョージ・ワシントンの母港化も強行され、さらに他の原子力空母も頻繁に入港し、原子力空母2隻体制が既成事実化されようとしています。
  在日米軍再編について民主党のマニフェストでは「見直しの方向で臨む」としていますが、具体策は不明です。社民党は「再協議を求め」、米軍基地の縮小・撤去を進め、辺野古新基地建設には反対としています。そもそも在日米軍再編は、日米安保体制の目的である「日本の安全」と「極東の平和及び安全」ですら大きく逸脱し、米軍と自衛隊が地球規模で連携し行動することを最大の主眼としており、この点に関する民主党および新政権の見解は明確ではありません。
  小松基地での米軍戦闘機訓練移転にも関係する課題であり、平和フォーラムや全国基地問題ネットワークとの連携を密にしながら、反対の取り組みを強化します。
3.日米地位協定に関しては、米兵による事件・事故が起こるたびに問題が噴出し、あまりにも不平等であるとして基地所在自治体から見直しを求める声が相次いでいます。新政権は米軍基地内で環境汚染、破壊が起きた場合の国、自治体の立入調査や米軍による原状回復義務を盛り込んだ「環境条項」を盛り込む方針です。さらに騒音問題での国内法の適用や自治体の基地返還要請への対応、緊急時以外の民間空港の使用禁止、米兵犯罪による被害者補償制度などについて、協定の見直しや新たな条項の追加など「不平等」解消に向け多くの課題があります。平和フォーラムや全国基地問題ネットワーク、基地所在県平和運動センターなどと連携し、地位協定見直しの取り組みを進めます。
4.海賊対策法は派兵恒久法にもつながる悪法であり、自衛隊派兵の狙いは米国の「テロとの戦い」への支援に他なりません。民主党は、海賊対策は原則海上保安庁の任務としつつ自衛隊の派兵を容認していますが、あくまでソマリアへの派兵中止を求めていきます。
5.年末の次期「防衛計画大綱」の見直しに向け、策定作業が進められています。8月4日には政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」が報告書をまとめました。専守防衛の見直しや集団的自衛権の解釈変更、武器輸出三原則の見直しなどに踏み込んでいます。特に「国防」の定義が国境線を前提にした「国土防衛」から海外の「国益防衛」へと、まさに海賊対策法の実績を踏まえ変更されようとしていることは重大で、派兵恒久法の先取りともいえます。すでに自衛隊の装備の改編が進行中で、海上自衛隊は海外派兵能力を向上させるヘリ空母や上陸作戦を可能にする輸送船も建造し、陸上自衛隊は国際即応集団を新設し、全部隊を掌握・指揮する陸上総隊を新設する方針です。航空自衛隊も新型空中給油機の導入など海外展開能力を向上させています。民主党が掲げる「対等な日米関係」の構築の具体策が、これらに兵力の活用であってはなりません。次期「防衛計画大綱」の見直しは、軍事大国化路線からの転換を打ち出す新政権の重要な試金石です。海外展開への道ではなく縮小・整理の方向を打ち出すようとりくみを進めなければなりません。
6.小松基地への米軍戦闘機の訓練移転について、今年度中に3回目の訓練が予想されます。米軍再編を推し進め、小松基地の軍事機能強化を図るものであり、全県的な反対運動をつくっていきます。また、騒音被害や事故の危険性も含め、広く基地周辺住民に、訓練移転の問題点をアピールし、小松基地や小松市に対しても抗議の申し入れをおこないます。
爆音訴訟第5次、第6次訴訟の勝利に向け、爆音訴訟連絡会の要請を受け、傍聴行動などに取り組みます。
航空祭は、戦闘行為をおこなう武器や基地を市民にPRする場であり中止すべきです。今年度は11月1日に開催の予定であり、爆音訴訟連絡会とも連携し、反対の申し入れ行動などをおこないます。
7.石川県と七尾市、国(総務省消防庁)は11月8日、第3回目となる石川県国民保護実動訓練を七尾市で実施しようとしています。国が主催団体に入っての訓練は県内では初めてであり、住民参加を拡大し、過去最大規模となる1千人規模での訓練になると思われます。加えて、自衛隊が学校のグラウンドを使用する動きもあり、従来以上に大きな問題を孕んだ訓練となる危険性があります。石川県、七尾市、市教育委員会に対しても、訓練中止の申し入れをおこないます。また、七尾市内での2回目の訓練となることから、街宣やチラシの配布(新聞折り込み)など、市民へのアピールも強化します。訓練当日は抗議集会・デモ、さらに監視行動にもとりくみます。
8.私たちの反戦平和運動の原点は、広島・長崎・沖縄です。国内最大規模の地上戦が展開され、今なお在日米軍基地の75%が集中する沖縄を訪れ、沖縄戦の教訓を学び、日米安保条約の実態を知ることは、県内の反戦平和運動の強化に大きな意義をもつものです。沖縄では32年前から5.15平和行進がおこなわれており、石川県平和運動センターとして昨年はじめて参加しましたが、今年度も引き続き代表団を派遣していきます。
9.住民基本台帳ネットワークシステムや共謀罪、監視カメラなど、プライバシーを侵害し、監視社会を押し進める動きに反対してきます。年金問題を利用して社会保障番号などあらたな管理システムを導入する動きがあり注視していきます。

3.改悪教育基本法の実効化を許さず、歴史認識の歪曲を許さない取り組み

1.教育基本法の改悪とそれに続く教育関連3法の改悪の狙いは、愛国心の押しつけ、国家に従順でない教員の排除、教育現場の管理統制の強化であり、その先には改憲による軍事大国化、新自由主義の推進があります。現憲法と齟齬があることはあきらかであり、新政権の下での法改正が求められます。
すでに学校現場では’47教基法改悪以降、教育関連3法も改悪され、教育再生会議や教育再生懇談会によって全国学力調査が導入されました。学習指導要領改訂によって道徳教育も強化され、武道も必修化されました。学校現場は競争主義と点数向上、道徳教育に追われ、教員は管理強化が進み、多忙化・労働条件悪化の中、現職教員の死亡も増加しています。
まさに教育政策の大きな転換が求められており、新政権に期待される教育政策は山積しています。平和運動センターとしても「教育の危機は平和の危機」という認識の下、平和フォーラムや県教組、高教組と連携し教育課題の前進に向けとりくみを進めます。
2.「新しい歴史教科書をつくる会」は、低迷する採択率と教科書の内容をめぐって分裂しましたが、今年度、新たに横浜市教育委員会に自由社版「つくる会」教科書を18採択区域中8区域で採択させるなど、巻き返しを図っています。歴史を歪曲し、戦争を賛美し、改憲・「戦争する国づくり」をめざす「つくる会」および「改善の会」の教科書の不採択を求めてとりくみます。
3.麻生前総理は、8月15日の靖国神社参拝は見送りましたが、4月21日の靖国神社の春期例大祭に「真榊」を「内閣総理大臣」の肩書きで奉納しました。追悼施設をめぐっては、民主・社民両党は無宗教の国立追悼施設を建設する考えを示しています。新たな「英霊」を生み出す施設とならないか、慎重な検討が必要です。
新保守主義の台頭、景気の悪化、生活不安が増大する中、先の大戦を肯定し日本のアジア侵略を否定する田母神前航空幕僚長のような歴史観が横行しています。「聖戦大碑」撤去の会が呼びかける集会などに積極的に参加し、歴史認識について学習を深めると同時に、歴史を歪曲する動きに反対していきます。

4.反核・脱原発の取り組み

1.核武装の強化と核拡散を進めたブッシュ前大統領の退場、「核兵器のない世界」を掲げたオバマ新大統領の誕生は、来年5月のNPT再検討会議に向け、核軍縮、核廃絶をめぐる国際的な議論を活発化させています。一方で北朝鮮が2回にわたる核実験を強行し、核拡散、新たな核の脅威にも直面しています。
2.こうした中、被爆国日本の対応や核をめぐる発言が今後の世界の核兵器削減をめぐる交渉に大きな影響を与えようとしています。
「核兵器のない世界」へのプロセスとして、世界の核兵器の95%以上を保有する米ロの2大核大国が大幅削減に踏み出すことは、核保有国の削減義務を定めたNPTの趣旨からしても当然のことです。年末の米ロ核軍縮交渉の行方が注目されます。
ここで米国の削減に向けた議論に抵抗しているのが日本政府です。米国は核弾頭の削減にあたって、プラハ演説にもあるように「米国の安全保障戦略の中で核兵器の役割を減らす」ことを検討しています。その筆頭にあげられる政策は「核の先制不使用」です。これには「日本が核兵器以外の兵器で攻撃を受けたときは、米国は核で報復しない(通常兵器で応じる)」という内容も含むため、日本政府は、中国の通常兵器や北朝鮮の生物化学兵器を念頭に、核攻撃以外にも核兵器で対抗してほしいという立場を示しています。
日本政府の発言が重要な意味を持つのは単に同盟国だからではありません。米国は日本について「米国の核の傘にある30ほどの国の中で、自ら核戦力を生み出す可能性の最も高い国」(シュレシンジャー元国防長官)と見ています。つまり核の傘をはずす、あるいは弱めた場合の日本の核武装を危惧し、核拡散を防ぐため米国の核抑止を提供するという考え方があります。
先に使うことを前提に核戦争を勝ち抜くシナリオを温存した場合、核兵器の大幅削減は不可能となります。米国の反核・平和運動は核の先制不使用の考え方を年末に向けた「核体制の見直し」の中に盛り込ませるよう全力をあげています。国内でも新政権の核政策の転換に向けた取り組みを進めなければなりません。
3.「核兵器のない世界」へのプロセスとして非核地帯構想の拡大も有効な手段です。非核兵器地帯とは、地域内の国家間で結ばれた条約により、核兵器の開発、製造、取得などが禁止された地域を指し、地域内の国家に対する核兵器の使用や威嚇も禁じられます。「非核の傘」で平和と安全を守るとりくみの1つで、すでに中南米やアフリカ、東南アジア、南太平洋、南極などが非核兵器地帯となっています。
  原水禁は「東北アジア非核地帯構想」の実現に向け取り組んできましたが、先の衆議院選挙のマニフェストでは、社民党だけでなく民主党も「北東アジア地域の非核化」をめざす」と掲げました。また今年の原水禁世界大会では原水禁、連合、核禁会議の3団体がはじめて「アメリカの核の傘からの離脱」と「東北アジア非核地帯構想の実現」について合意しました。日本の外交、安全保障政策の大きな転換に向けてさらにとりくみを強化しなければなりません。
4.非核三原則、特に核兵器の持ち込みをめぐる密約問題について、米国側資料を裏付ける元外務省幹部からの証言が相次いでいます。民主・社民両党も真相究明の方針を明言しています。核密約を根拠に、核艦船の日本入港が常態化していたにもかかわらず国民を欺く国会答弁を繰りかえしてきた自民党政権の責任は重大ですが、核兵器の持ち込みはその後、1991年にブッシュ(父)大統領が艦船搭載の短距離用戦術核の全面撤去を決めてからはなくなったと見られています。また現在の「核抑止力」という観点から見ても、米本土配備の大陸間弾道弾(ICBM)などがあり、オバマ大統領は短距離戦術核の極東再配備を決断するとは想定しがたく、核密約をこれ以上秘匿する政策的合理性はありません。
  むしろ警戒すべきは、日本国内に核密約論議を機に米軍核艦船の寄港を公然と認めようとする動きがあることです。米国が核への依存度を下げようとしているときに、被爆国日本が核への依存度を高める「非核二原則」へと転換することは、北朝鮮の核開発や中国の核戦力増強に口実を与えることともなります。平和フォーラム、原水禁と連携し、非核三原則の法制化実現に向けてとりくみます。
5.原水禁石川県民会議として参加する原水禁世界大会に代表団を派遣するとともに、県内の非核平和行進にも積極的に取り組みます。来年のNPT再検討会議の前進に向け、連合石川とともに核兵器廃絶1000万人署名に取り組んでおり、自治体の核兵器廃絶決議についても、金沢市議会、白山市市議会、加賀市議会がすでに決議をあげていますが、県議会や全市町議会の決議に向けて引き続き要請を続けます。また平和市長会議が呼びかける、2020年までに核兵器廃絶をめざす「2020ビジョン」に賛同し、県内の各自治体に平和市長会議への参加を呼びかけます。
6.北朝鮮は2度の核実験を強行し、核保有国の立場を国際的に認めさせようとしています。米朝対話の再開も南北対話の再開も緊張緩和という意味ではプラスですが、核の放棄が前提でなければなりません。また、北朝鮮の核問題は東北アジアの安全保障に直結するだけに、関係国が集まった六ヶ国協議の場での再開を求めます。日本としてはそのためにも日朝国交正常化の前進を図らなければなりません。来年は日本が朝鮮半島を植民地化した日韓併合から100年となります。日朝国交正常化に向けて、その意義や課題を学ぶため、平和運動センターとして学習会を検討していきます。
7.脱原発運動の中心課題であるプルトニウム政策転換の運動は今年度、大きな山場をむかえます。原子力立国計画で示されたプルトニウム利用計画が大幅に遅れる中、日本原燃は要となる六ヶ所村再処理工場の本格稼働の時期を2010年10月とする計画を発表しました。1日で原発1年分の放射能を放出する危険施設であり、かつ2兆2千億円の予算を投入しながら何らエネルギー政策に貢献しない巨大なムダ施設です。むしろ、すでに44トンもの余剰プルトニウムを保有する中で、さらに再処理工場を稼働させ余剰プルトニウムを生産・保有しようとする日本政府に対して、世界各国から核拡散を懸念する声があがっています。稼動を阻止し、再処理を中止に追い込まなければなりません。
一方、1995年のナトリウム漏れ事故以来停止している高速増殖炉もんじゅも、事故の危険性はもちろんのこと、2兆8千億円もの予算が注ぎ込まれたムダ施設です。高速増殖炉の実用化を2050年とする国の計画に現実性はなく、エネルギー政策としての「もんじゅ」はまさに無責任行政の象徴といえます。しかし、もんじゅの問題点はそれにとどまりません。もんじゅを稼動させることによって、高純度の超核兵器級といわれるプルトニウムが製造されることから「核兵器製造工場」との指摘もあります。日本原子力研究開発機構は今年度中の運転再開を表明しましたが、再開阻止に向け、原水禁や福井県平和運動センターと連携し、平和運動センターとしても全力でたたかいを進めます。
余剰プルトニウムを持たないことを国際公約にした日本が、プルトニウム利用路線の破綻を覆い隠すために進めているのがプルサーマル計画です。今秋11月にも玄海原発で国内初のプルサーマルが強行されようとしています。危険な原発をさらに危険にするプルサーマルは世界的にも撤退傾向にあります。しかも使用済みMOX燃料の処理方法は決まっておらず、原発敷地内が使用済みMOX燃料の中間貯施設となることは確実です。原子力政策の失政のツケが原発現地に押し付けられることになります。
さらに、耐震問題や上関原発や浜岡原発などの新増設の動き、高レベル放射性廃棄物処分場問題など脱原発課題は山積しています。
新政権では社民党が脱原発をめざし核燃料サイクル・再処理の中止を明確に示していますが、民主党は「安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら、原子力利用について着実に取り組む」とし、さらに政策集では「国が最終責任を負うこととし・・・再処理技術の確立を図ります」としています。しかし税金の使途から考えても、エネルギー施策として意味をなさない再処理に今後も多額の税金を投入し続けることは許されません。
エネルギー政策の転換を求める声をさらに大きく政府や中央省庁、国会に届けるために、10月3日、「エネルギー政策の転換を求める全国集会」が東京・明治公園でおこなわれます。原告団・市民団体とともに参加態勢を組んでいきます。12月5日の「もんじゅを廃炉へ!全国集会」は、昨年度同様、100人の参加態勢を目標に参加を呼びかけます。その他、原水禁からの行動の呼びかけにはできる限りの対応をしていきます。
8.北陸電力は志賀原発のプルサーマルの導入について、「2010年度まで」を「2015年度まで」と先延ばししました。これは、臨界事故隠しや新型タービンの破損、断層の過小評価、その他、数多くの品質管理のミス、安全軽視の対応の積み重ねの結果といえます。このような北陸電力が、志賀原発をさらに危険にするプルサーマルを実施するなど絶対に認められません。来年3月の知事選以降の自治体申し入れを北陸電力は狙っています。
  平和運動センターは北陸3県の脱原発の仲間に呼びかけ、「ストップ!プルサーマル・北陸ネットワーク」を立ち上げました。当面はプルサーマルの問題点を学び、さらに県民に広く伝えていきます。情勢を踏まえ、申し入れや集会などにも取り組みます。
能登原発差止め訴訟は、名古屋高裁金沢支部の不当判決に対し、最高裁に上告されました。引き続き原告団のとりくみに協力していきます。
 志賀原発からの使用済み核燃料の搬出は核燃サイクルの推進、志賀原発のプルサーマルの導入につながるものであり反対します。低レベル放射性廃棄物の搬出も核のゴミの六ヶ所村への押しつけであり、しかも処分場直下の活断層の存在も指摘されており認められません。新燃料の搬入にも反対していきます。

9.広島、長崎の被爆者課題については、国は集団訴訟原告と救済の合意をしましたが、支援を求める多くの被爆者が置き去りにされています。2世・3世問題や在外被爆者問題も含め、残された課題はたくさんあります。また、原発労働者の被曝問題や労災認定問題も重要な課題です。全てのヒバクシャの救済に向け、引き続き原水禁と連携し取り組みを進めます。

Ⅲ.政党、議会、選挙とのかかわり

    
1.2000年9月の第1回総会で確認したとおり、議員や政党との連携は運動面にとどめることを基本とし、特別の場合を除いて選挙闘争(候補者の推薦行為など)から撤退することとしてきました。平和フォーラムは、新政権の発足を受け、政権や与党への影響力をさらに高めるための方策を検討しています。平和運動センターとしても従来の方針に立ちつつ、今後の平和フォーラムの議論を踏まえて、今後の対応を検討していきます。
2.政党と労働組合は、その活動において一線を画すべきことはいうまでもありませんが、平和をめぐる運動課題は政治的性格を有していることも事実です。民主、社民両党および議員団とは、従来から総会や各集会への参加を要請し、積極的な交流と情報交換に努めてきましたが、さらなる関係を強化に努めます。
3.両党から政治活動上の協力要請を受けることもあります。この場合は平和運動センターの運動方針に照らして妥当かどうかを、運営委員会あるいは三役会議において諮り、合意が得られた場合のみ協力していきます。

Ⅳ.関係団体との共同行動を拡大する取り組み

       

1.県勤労協との連携強化を目指して

1.県平和運動センターと県勤労協は運動面においても財政面においても共通する課題が多く、また、地区平和運動センターと地域勤労協は一体化、あるいはそれに近い組織形態で活動しているところが多くみられます。職場と地域の運動をつなげることは平和運動の強化につながるものであり、連携が深まるよう諸活動について協力を求めていきます。必要に応じて、意見交換会もおこないます。
2.2010年新春の集いを引き続き共催でおこないます。

2.連合石川との連携について

1.連合が結成されて20年をむかえます。平和運動センターは9年前の発足時にすべての政治活動の一日も早い連合への一元化を目指すとしつつ、一方で「平和運動センター」の名に相応しい行動展開に「当面」全力をあげるとしてきました。一見矛盾するかのような方針を抱え、運動体としては過渡的存在という印象をもたれるまま、現在の平和を巡る危機的な情勢に立ち向かうこととなりました。
2.平和フォーラムの組織検討委員会は2007年3月、平和フォーラム・原水禁の組織と運動を連合に「ただちに統一することは困難」とし、組織・役員が一体となり目的意識的に組織(平和フォーラム・原水禁)の強化・拡大に取り組むこと、運動面でも中央組織としての役割強化が求められているとの報告書をまとめました。平和フォーラムでは今後の連合との連携のあり方を検討していますが、基本は「一致できる課題は連帯して頑張る」「一致できない課題は対抗して頑張る」ということです。
3.これは連合石川との関係に必ずしも距離を置くものではありません。平和運動センターの役割や労働界の中での位置づけをより明確にする中で、連合石川とのより積極的な協力関係を築いていきます。

3.護憲・平和諸団体との連携強化について

1.石川県憲法を守る会
 5.3憲法集会など憲法を守る会が呼びかける取り組みに参加していきます。11月1~3日の日程で、長野市で開催される第46回護憲大会へ代表団を派遣します。
その他、会の運営に積極的に協力し、運動の拡大に務めます。

2.原水禁石川県民会議
原水禁世界大会広島・長崎大会は、構成組織内から引き続き代表団を送るとともに、勤労協や一般の市民にも参加を呼びかけます。非核平和行進は各地区平和運動センターと連携し取り組みを強化するとともに、自治体への協力要請も積極的におこないます。自治体賛助金については、原水禁運動の貴重な財源であると同時に自治体の平和行政の一環でもあり、引き続き議員団や地区平和運動センターの協力を得て、県下全自治体に要請していきます。
原水禁国民会議が提起する諸行動にも可能な限り参加していきます。
その他、構成組織の中心として、原水禁運動の強化、拡大に積極的に取り組みます。

3.石川県社会法律センター
今年で発足32周年を迎えます。引き続き地区平和運動センターと連携し「くらしの相談」を実施します。相談件数の減少と厳しさを増す財政状況を踏まえ、開催地や広報のあり方についてはさらに検討を重ねます。登録弁護士には学習会の講師を依頼していきます。

4.「聖戦大碑」撤去の会
  聖戦大碑の撤去を求める闘いに連携して取り組むとともに、会が主催する集会にも積極的に参加します。

5.住基ネット差し止め訴訟を進める会・石川
今後も進める会とも連携し、住基ネット反対の運動に取り組みます。

6.憲法九条を広める会
  憲法改悪反対の闘いを連携して進めます。広める会が主催する学習会を積極的に広報し、参加者の拡大にも努めます。

7.九条の会・石川ネット
  石川ネットが呼びかける集会等には憲法を守る会の構成組織として積極的に参加していきます。賛同人の拡大にも取り組みます。

8.七尾強制連行訴訟支援会
団体会員として訴訟を支援していきます。

9.小松基地と戦争に反対する小松市民と県民の会(反基地県民の会)
  小松基地への米軍の訓練移転が今後も予想され、また、第5次、第6次爆音訴訟も開始されました。全県的な反基地闘争の強化と、反基地闘争の対外的な窓口が求められています。このような観点から、反基地県民の会を再建について引き続き検討していきます。

Ⅴ.組織財政の立て直しと運動の裾野を広げる取り組み

   

1.平和運動センターへの結集力を強化する取り組み

1.この1年間、反戦・平和、護憲、脱原発をめぐる諸課題について積極的に取り組み、集会やデモ、街宣・ビラまきなどの行動を通じて直接県民、市民に訴えてきました。さらに私たちの取り組みはマスコミを通じても広く県民に伝えられ、平和運動センターの存在感と役割を示してきました。引き続きこれらの諸課題に対し積極的に行動を提起し、全単産・単組の参加のもとで実現することによって、平和運動センターに対する理解や結集力・求心力が強まるようさらに努力していきます。これらの諸課題は労働運動の基本でもあり、各単産・単組との連帯を深めることによって、組織の強化と運動の拡大をはかっていきます。
2.運営委員会や三役会議での議論と合意形成をはかり、指導性を発揮できる体制を確立します。さらに地区代表者会議を開催しながら全県的な運動の拡大に努めます。
3.三役を中心に、運営委員としての日常活動を強化し、構成組織との連携強化に努めます。
4.平和運動センターと組合員をつなぐ重要な媒体として、機関紙「PEACE石川」の定期発行と紙面充実に努めます。ホームページも常時新鮮な情報が掲載されるよう努めます。また、時々の闘争課題の理解を深めるための学習会を適宜開催し、平和フォーラムなどから発行される学習資料も適宜紹介していきます。
5.数年前の自治労攻撃に続き、この1年は全農林に対する政府・一部マスコミ一体となった理不尽極まりない攻撃が展開されました。日教組に対する暴言も自公政権や自民党議員から繰りかえされました。今回の総選挙期間中も、自民党から日教組を誹謗中傷するパンフが大量に配布されました。民主党など野党(当時)を支持する公務員組合の弱体化を狙った攻撃であることは明らかですが、同時に労働運動、平和運動全体に対する不当な弾圧でもあり、平和運動センターとしても看過できない動きです。当該組織とも緊密に連絡をとりながら、必要な対応をしていきます。

2.組織・財政の立て直しについて

1.2005年度以降の自治労県本部やJPU、印刷労連等の脱退で、登録組合員数は2005年度当初の15,300人の半数以下の7,000人になろうとしています。2005年度に立ち上げた組織財政検討委員会では、現行の運動を維持することを前提に、財政のあり方を検討し、増収対策としてPEACEネット石川の会員拡大や未加盟組合への加盟の呼びかけ、経費削減対策として人件費の抑制や役員手当て全般の見直し、分担金の見直しなどをおこない、不足分は特別会計からの繰り入れでしのいでいく方針が確認をされました。
2.特別会計からの繰り入れは、2008年度は830万円にのぼり、現状の財政規模を維持することは限界に近づいています。 政権交代が実現し、さらに政策転換の実現に向け運動を強化しなければならない局面をむかえていますが、中期的スパンの中で運動や組織、財政のあり方を検討するため、組織財政検討委員会を設けます。
3.自治労県本部をはじめ脱退した組織に対しても、再考を願い、再結集への働きかけを続けます。新規加盟による組織拡大にも努力します。

3.政策決定への影響力の強化を目指して

1.新政権が発足し、平和フォーラムに結集する各産別の組織内議員や、反戦・平和、護憲、脱原発の運動課題で連携し、また交流を深めてきた多くの議員が政権内に入り、あるいは与党内の重要なポジションで活躍することとなります。平和フォーラムは、従来から各省庁に対し制度・政策要求をおこなってきましたが、新政権発足を受け、政策転換、政策実現への影響力・実行力の強化が今後の重要な課題となります。平和フォーラム内の議論にも積極的に参加し、政策への影響力の強化を目指します。
2.平和運動センターの運動課題をみたとき、多くの課題は平和フォーラムの下に結集し、全国的な連帯の中でたたかいを組んでいます。しかし一方で、小松基地への米軍戦闘機の訓練移転阻止、国民保護計画実働訓練反対、志賀原発運転反対など、直接的には県内の自治体が決定権を持つ、あるいはコミットする権限を持つ課題も多くあります。自治体の政策決定への影響力を強化することも求められています。県内の大衆運動を強化していくこと大原則ですが、そのうえで、民主・社民両党や議員団との連携を密にし、政策決定のプロセスに深く関与できるよう運動を組み立てていきます。県に対し、平和行政に関する「制度・政策要求」をおこなうことも検討していきます。

4.地区平和運動センターとの連携を強化する取り組み

1.県内12地区に地区平和運動センター組織があります。県平和運動センターと上下関係はありませんが、原水禁平和行進や「くらしの相談」などの運動展開ができるよう代表者会議を開催しながら関係強化に努めます。また原水禁世界大会や護憲大会、北信越ブロックの地域活動交流集会へも積極的に参加してもらえるよう働きかけます。
2.地区平和センターは加盟単組の減少や組合員の減少、財政問題、勤労協との連携、組織の統合などの様々な地域的課題があります。今後も、地域事情に応じた運動の展開や、活動しやすい形態を追求するという観点から、各地区センターが抱える課題の解決のために県平和運動センターとしても最大限の努力をします。
3.地区平和運動センターからの提起を積極的に受け止め、運動を展開していきます。昨今の代表者会議では県平和運動センターからの行動提起を求める声も多く出されます。地区平和運動センターと連携し、県内全域への運動の拡大を目指します。
4.輪島、穴水、門前の各地区平和運動センターは、次回総会で統合する方向で合意がなされています。新組織結成に向けて協力をしていきます。河北地区平和運動センターは2002年を最後に総会が開かれていません。組織の再建に向けて積極的に対応していきます。

5.青年・女性部の育成、強化について

1.青年・女性部は反戦平和の課題に積極的に取り組み、平和運動センターの運動にも積極的に参加しています。引き続き青年・女性部の代表は平和運動センターの運営委員として参画することとします。
2.青年・女性部は、2.8ジェット機墜落事故抗議・反基地闘争、6.23反安保・反戦平和闘争および10.21国際反戦平和闘争を、反戦平和集会の開催を通じて取り組み、12.8反戦平和を考える集会も連合や社民党などと実行委員会を結成して取り組んでいます。反戦・平和の運動を職場から作り出していく推進役という意味で、また各単産・単組の時代を担う活動家を育成する組織という意味で、平和運動センター、そして各単産・単組にとって大きな役割を果たしています。引き続き自主性を尊重しつつ必要な指導・援助をおこないます。
3.5.15沖縄平和行進の取り組みについて、青年・女性部からの積極的な参加を要請していきます。
4.各単産・単組の青年女性組織は、最近の新規採用の抑制によって対象となる組合員が減少し、役員の選出や活動の継続が困難になっています。各単産・単組は青年女性の運動を積極的に援助するとともに、平和運動センター青年・女性部への役員派遣および運動への参加を指導していくものとします。

6.平和フォーラム、北信越ブロックについて

1.平和フォーラムが提起する会議には可能な限り参加し、情報交換、意見交換を積極的におこないます。平和フォーラムが提起する全国行動については、全国情勢と地域での闘争日程を勘案し、参加態勢を組んでいきます。「もんじゅを廃炉に!全国集会」は、今年度中の運転開始が予定されており、昨年同様の100人の参加態勢を目標にして臨むこととします。
2.今年度は、平和フォーラム北信越ブロック協議会の幹事県となります。北信越5県の連携強化に向けて、ブロック会議や地域活動者交流集会を開催していきます。