2002年度活動方針

2002年度活動方針

一、私たちをとりまく情勢

1.雇用と生活不安が増大する労働者の現実

(1)完全失業者の内、1年以上の長期失業者は100万人を越えて、一家の大黒柱である中高年労働者数千人など自殺が4年連続3万人を越えるなど、雇用・失業情勢の悪化が深刻な労働者生活の現実を示しています。
(2)こうした雇用情勢にもかかわらず政府は、解雇ルールの明文化や派遣労働の自由化など、労働分野の規制緩和によって、「解雇しやすい」状況をつくろうとしています。しかも失業者に対する雇用保険の給付金額を引下げ、期間を短縮し給付認定を厳しくするなど労働者保護の行政はないに等しい状況となっています。
(3)また健康保険法の改悪によって、医療費の自己負担を2割から3割に引き上げるだけではなく、保険料率の引上げと算定対象にボーナスを含めるなど国民への負担を強いるものとなっています。更に増税や厚生年金の改悪など勤労者への大衆収奪は、がまんの限界を超えるものとなっているのです。
(4)労働者(組合員)の雇用と生活、権利を守るために組織している労働組合の任務と役割りはますます重要となっています。

2.「戦争できる国づくり」をめざす小泉政権の反動諸攻撃

(1)米・英によるアフガニスタンへの「報告戦争」に日本は戦後初めて参戦しました。インド洋に派遣された自衛隊艦船からの燃料補給を受け、今も米・英軍はアフガニスタンへの無差別の空爆、武力攻撃を繰り返し多くの住民や難民を殺りくしています。
 アメリカ・ブッシュ政権は「テロに対する正義の戦争」として正当化し、イスラエル・シャロン政権に対するパレスチナ人民の虐殺を支持支援し、更にアジア・中東全域に、とりわけイラクへの軍事侵略を狙っています。
(2)小泉政権はブッシュ政権の「報復戦争」に支持を表明し、自衛隊艦船のインド洋派遣にとどまらず、米軍との本格的な共同行動作戦を展開できる「戦争のできる国」づくりをめざしています。「小型であれば原子爆弾の保有は問題ない」(安部官房副長官)「日本は核保有もできる」(福田官房長官)などという発言はその意思を表明したものです。
 日本を「戦争のできる国」につくりかえるため、武力攻撃事態法をはじめとする有事法案を秋の臨時国会で何としても成立させようとしているのが小泉政権です。私たちは今春・夏の闘いにふまえ文字通り正念場を迎える「有事法阻止」を闘い抜かなければなりません。
(3)政府は国家財政の危機を理由に、労働者への犠牲を押しつける「聖域なき構造改革」を進めている一方で、防衛費(軍事費)だけは聖域として前年度を上回る予算を計上し、文字通り軍事大国の道を突き進んでいます。
(4)また小泉政権は「メディア規制三法」(個人情報保護法、人権擁護法、青少年有害社会環境対策基本法)の臨時国会での成立を狙っています。「プライバシーの保護」を名目に、公権力が強制力をもって報道に介入し、言論、表現、報道の自由を制限し、国家による情報管理の強化などによって「知る権利」を奪い、再び「物言えぬ暗黒の社会」を到来させるものとして、マスコミや法曹界、労働組合から反対の声が上がりました。こうした中で8月から住民基本台帳ネットワークが稼動しました。住民票が全国どこからでも取れる「利便性」を協調していますが、実際には職業や勤務先、学歴、犯罪歴、病歴、公的機関の利用歴などすべての情報が一枚のICカードに登録され、国家が一元化に管理、監視する危険性が指摘されています。
(5)「奉仕活動」の義務化や「習熟度別授業」(できる子、できない子の選別)導入、「指導力不足教師」の排除、「国旗、国家」の強制など、戦後民主主義教育の根幹をなす教育基本法の改悪、学校管理体制が強化されようとしています。また労働基本権を置き去りにした「公務員制度改革」を政府は進めようとしています。

3.急速に進む「環境」破壊

 地球規模に進んでいる環境破壊は、先進国の大量生産・大量消費による石化エネルギーの消費と二酸化炭素の排出、大量破壊(核)兵器の使用と環境破壊、処理方法が未確立な原発からの放射性廃棄物などなど、私たちの生活に深刻な影響をもたらしています。アメリカは地球温暖化防止のための「京都議定書」の調印を拒否していますが、各国においても産業優先の姿勢は変わらず根本的な環境保護は二の次・三の次でしかないのです。
 私たちにとって「環境問題」は、それとしての課題であると共に、最も根本にある核兵器の開発と使用や原発の推進、戦争に反対する闘いが核心です。

二、具体的な活動方針

1.組織強化と運動の裾野を広げる取り組み
1.平和運動センターへの結集力を強化する取り組み

(1) 昨年1年間の闘いを通じて平和運動センターの存在意義を再確認する共に、結集力・求心力が強まりました。本年も反戦平和、反基地、反原発といった課題に限定された平和センターでありますが、各単産との日常的な交流や連帯を通じて組織と運動の強化を前進させていきます。
(2) 四役会議、運営委員会での論議を基礎に指導性を発揮できる体制を確立し、拡大運営委員会や単産代表者会議を開催しながら、運動の全体化を図っていきます。
(3) 昨年は不十分に終わった機関紙「PEACE石川」の定期発行に努め、平和運動センターとしての学習会を適時開催します。
(4) 平和運動センターの活動を運動と財政面から支えて頂くことを目的に、個人加盟の「PEACEネット石川」が設立されています。現在の会員数は各単産のOBや地方議員を中心に73名となっています。会の趣旨や会員対象を整理しながら拡大に取り組みます。
(5) 私たちの運動と共鳴できる団体との協力関係を追求し、県内における平和運動のすそ野がより一層拡大するようとりくみます。

2.地区平和運動センターとの連携を強化する取り組み

(1) 県内16の地区組織があります。その内、平和センターに名称(組織)以降していない地域や総会が開催されていない地域もあります。他方では地区平和センターとして独自平和集会や決起集会、学習会などをとりくんでいる地域もあります。地域勤労協との関係、組合員の減少と財政問題など地域的課題もあります。
それぞれがもつ課題の解決のために県平和センターとしての役割を発揮するよう努力します。
(2) 各地区平和センターでの活動やとりくみを交流し、地区組織の活性化につなげていくため、地区代表者会議や交流会を企画、開催します。

3.県勤労協との連携強化をめざして

(1)「車の両輪」として連携していくことを方針化していますが、実態は全く不十分な関わりしか持てていません。職場と地域の運動をつなげていくことは重要なことです。
(2)従って県平和センターと県勤労協、地区平和センターと地域勤労協の連携を創りだしていくため、意見交換会や学習会の共同開催などを検討し進めます。

4.連合との関係

(1)連合が結成されて以降「連合運動への一元化」がめざされ、昨年連合政治センターが発足し、県平和センターは選挙闘争から撤退することを決定しま    した。来年4月には統一自治体選挙が行われます。第一義的には連合地協が組織割や選挙指導を行うことになり、指導力の発揮を期待するものです。
 2000年9月の第1回の総会では「なお、議員や政党との連携はあくまでも運動面にとどめることを基本とし、特別の場合を除いて選挙闘争(候補者の 推薦行為など)から全面的に撤退する」との方針を決定しています。本総会においてもこの方針を踏襲することを確認します。
(2)私たちは「今国会で有事法成立反対」の連合方針を受け、5.19集会を連合としてとりくむよう申し入れました。しかし連合本部との関係で難しいとの結論になりましたが、連帯の挨拶をうけました。平和運動では先進的な連合石川との関係が密になるよう努力していきます。

5.青年連絡会・女性運動連絡会運動の支援について

(1)青年連絡会と女性運動連絡会は、ともに連携しながら反戦平和の運動を従来にまして積極的にとりくんでいます。この間のとりくみを通じて各単産の青年・女性の組織も強化されています。
県平和センターは青年連絡会と女性運動連絡会を県平和センターの組織として位置づけ、その自主性を尊重しつつ、側面的な支援体制を引き続き強化していきます。
県平和センターの運動の一翼を担ってもらうため、運営委員会にオブザーバーで参加を求めます。
(3) 平和センターとしての規約上の位置づけや青年女性の組織形態については、来年の総会までに整理し決定します。

2.大衆運動を一層強化する取り組み
1.有事法阻止、戦争のできる国づくりに反対する闘い

(1)小泉政権は秋の臨時国会で「有事関連法案」の成立を何が何でも成し遂げようとしています。その際、通常国会で「武力事態の定義があいまい」「国民の権利の制限内容が不明確」だ、などの批判を受けて法案の修正に着手しています。しかし、国会答弁で政府が明らかにしているように「武力攻撃の恐れや予測される事態」には、相手国が「攻撃に着手したときも含む」とし、これも専守防衛の範囲内と居直っています。とんでもない理屈づけです。相手国が「攻撃に着手した」ことをもって先制攻撃に打って出ることに他なりません。また2年後に先送りしていた「国民保護」に関しても法案を提出するとしていますが、いずれにしても「公共の福祉(国益)」の観点から国民の権利を制限するものであり、断じて認められるものではありません。一部修正されれば賛成できるものではない、そのような法律ではないことを明確にし、廃案を実現するために全力で闘います。
 その場合、総括でもふれたように私たちの反対運動が分断されている現実の克服が重要です。
(2)同じく「継続審議」となった個人情報保護法も臨時国会で成立させようとしています。二つの法律が上程されています。個人情報保護法案(メディア規正法と言われているもの)と行政機関個人情報保護法案で、この二つを総称して個人情報保護法案といわれているのです。そしてこの個人情報が、国民一人一人に11桁の番号がつけられた、住民票コードによって管理、監視されることになるのです。これが住民基本台帳ネットワークなるのものです。しかし恐ろしいことに来年からICチップを組み込んだ「住基カード」が配布され、あらゆるものを利用したり、購入する際には「住基カード」の提示が義務づけられ、そのデータが国家のもとで一元的に管理されていくのです。
 私たちはすでに運用を開始している「住基ネット」の中止と個人情報の保護法案の廃案を実現するために闘います。
(3)衆参両院に設置されている「憲法調査会」は憲法9条の改正も視野に入れた中間報告を11月3日の憲法記念日に出すといわれています。有事立法の制定によって憲法の精神は去勢され、9条はなきものにされるという危機感から闘ってきており憲法改悪にも断固反対して闘い抜くこととします。
(4)アメリカ・ブッシュ政権は「テロ根絶」では支持を得たイギリス、ドイツ、フランス、ロシア、中国などや中東諸国の中でイギリスを除く国々がこぞって反対を表明し、アメリカ国内からも反対の声が上がっているにもかかわらず、この声を押し切ってイラク・フセイン政権打倒の攻撃の時期を虎視耽々と狙っています。今や孤立しつつあるブッシュ政権を支持しているのはイギリス・ブレア政権と日本の小泉政権なのです。
 アメリカの2002年度国防報告において「アメリカを守るためには場合によっては「先制」が必要」「アメリカの敵に対しては「核攻撃」をしかける用意がある」とまで述べています。アメリカに歯向かうやつは許さないという単独行動主義(ユニラテラリズム)に走るブッシュ政権の戦争拡大を許すことはできません。
 すでにマスコミで暴露されているように、インド洋に派遣している自衛隊艦船はアメリカ軍の指揮下で行動しており、イラク攻撃を前に自衛隊員をアメリカ中央軍司令部に派遣しようとしているのです。まさにアメリカの戦争拡大に積極的に加担し、日本として本格的に参戦していこうとしているのが小泉政権です。
 私たちはアメリカ・ブッシュ政権のアフガン攻撃に続くイラクへの戦争拡大に断固反対すると共に、これに参戦していこうとしている小泉政権を許すことはできません。反対の闘いを尚一層強化し、小泉政権を打倒する闘いへ進めていく必要があります。
(5)「教育改革」に名を借りた教育基本法の改悪や「つくる会」教科書など、教育の国家統制と戦争を担う国民の意識づくりに反対して闘います。

2.反基地闘争の取り組み

(1)沖縄米軍基地の固定化や基地機能の強化に反対し、米軍基地の縮小・撤去をめざし、沖縄をはじめ全国の労働者や地域住民と連帯して反基地の闘いを強化します。
(2)航空自衛隊小松基地の撤去を目指し、小松基地爆音訴訟原告団の闘いを支援すると共に、防衛施設庁の「10.4協定」見直しと軍事演習の強化に反対して闘います。また輪島のレーダーサイトなど軍事基地の機能強化や能登空港の軍事利用には反対します。
(3) 小松基地航空祭や日米合同演習に反対するとりくみ、騒音調査や監視行動などを原告団、小松能美単組協議会と連携してとりくみます。
(4) 全国基地問題ネットワークへの加盟を継続し、各地の情報交換と闘いの交流を図り、全国の反基地闘争と連携した運動を進めます。

3.反核・脱原発の取り組み

(1)福田官房長官や安部官房副長官の「核兵器保有は合憲」「非核三原則見直し」発言は、日本が核兵器開発に乗り出していく(すでに進めている)ことを表明したものです。私たちは広島、長崎市長の平和宣言を引用するまでも無く、世界で唯一原子爆弾の惨禍を受けたものとして、核兵器の開発・保有には断固反対すると共に、全世界から核兵器を廃絶することを要求します。
(2)アメリカはCTBT(包括的核実験禁止条約)を反故にして臨界前核実験を強行しています。北朝鮮やイラン、イラクなどが核兵器を開発している疑いがあるとして軍事的・経済的圧力と制裁の強権を発動し、核独占を狙っているアメリカを弾劾しなければなりません。あらゆる国の核実験・核開発に反対します。
(3)原発事故は頻発しています。東京電力の事故隠しは重大事故発生の原因となるものです。高速増殖炉「もんじゅ」をはじめとするすべての原発の廃炉・運転中止を要求します。
 12月8日、福井県敦賀市において「もんじゅを廃炉に」全国集会が開催されます。石川として積極的に参加します。
(4)志賀原発の運転凍結、2号機増設中止を求め2号機差し止め訴訟を支援します。MOX燃料計画に反対し、核燃料の搬入・搬出に反対する行動を続けます。
 県が実施する防災訓練の調査・提言活動にとりくむと共に、「命のネット」など周辺住民の自主防災運動を支援します。
(5)珠洲原発建設の白紙撤回をめざして闘います。貝蔵市長や自民党県連は依然として原発誘致に固執しており、一部では使用済核燃料の中間貯蔵施設構想への転換という噂もありますが、いずれにせよ現地の反連協と連携しながら闘いを進めます。
(6)反核燃の日全国交流集会やJCO事故全国集会、原子力施設立地県全国連絡会の行動に参加します。

3.関係団体との共同行動を拡大する取り組み

1.私たち平和運動センターが直接、間接に関係する諸団体との連携を維持・強化しながら運動を進めます。具体的には憲法集会や護憲大会、戦争体験を語り継ぐ集い(石川県憲法を守る会)、原水禁世界大会や県内平和行進(原水禁県民会議)、くらしの法律相談(社会法律センター)、聖戦大碑の撤去と戦争の美化を許さない運動(撤去の会)、更には食とみどり、水を守る石川県民会議と連携した地域運動にも努力します。
 尚、本年の護憲大会は新潟県で開催(11/3~5)されることから、北信越ブロックの一員として積極的な参加と大会成功に協力します。
2.私たちの反戦・平和や上記の運動を進めていくに当たっては、社民党やスクラム喜望の議員、民主党桑原代議士との協力関係を維持していきます。また、法律センターとの連携を強めます。
3.私たちは護憲・平和や反基地、反原発闘争などをとりくむためには学習活動が欠かせません。社会法律センターの弁護士や大学教授の皆さん、平和センターはもちろん各単産の学習会の講師として協力をお願いしていきます。