パロディー作家マッド・アマノ氏「風刺は権力への批評行為」(2)

幹事長時代の安倍首相から「通告書」で受けた恫喝

――政権批判をすると「この人はテロ寄り」だと叩かれる。それで自粛ムードが広がっています。
「もう本当にいびつですよね。一般の人たちはどうしてもテレビや新聞から得られる情報だけで判断する。それ以上深く調べたり、本を読んだりしないわけですよ。ましてや今は、権力側が『テロを擁護するのか』という“印籠”みたいなものを持ってしまっていますから、それを出されると、みんな『これ以上、言っちゃいけないのかな』となってしまう」
■小泉総理に対する「名誉毀損」で訴えると脅し
――ご自身が権力から恫喝を受けたというのは、04年の参院選の時の作品に対してのことですね。当時、自民党の幹事長は安倍晋三さんでした。
「参院選の自民党の公式ポスターをちゃかしたということで問題になりました。小泉総理(当時)の直筆をデザインしたポスターで、〈この国を想い、この国を創る〉というキャッチフレーズを、私が〈あの米国を想い、この属国を創る〉に“間違い”を訂正して差し上げたんです。もともとは『リコール!小泉鈍一郎』という本を作りまして、そこに掲載した作品だったのですが、これを当時、みどりの会議の代表として参院選に出馬した中村敦夫さんが自分のホームページに載せた。そうしたら、自民党から私と中村さん宛てに通告書が送られてきた。安倍幹事長と顧問弁護士の連名でした」

写真週刊誌「FOUCS」で20年間パロディー作品を連載した (C)日刊ゲンダイ

 幹事長時代の安倍首相から「通告書」で受けた恫喝

――通告書には何と?
「総理に対する名誉毀損です。回答によっては訴えるぞと。脅しですね。2日以内に答えろと居丈高で、だからこちらも通告書を送りました。〈コクミンの立場から見て小泉内閣の「対米追随・隷従」は著しく日本人の名誉を汚しているものと考えます〉などと書いて。選挙中だったのでこちらは回答に1カ月の猶予を与えて懐の深いところを見せましたが、回答はありませんでしたよ。しかし、一国の総理、権力者が『名誉』って何なのでしょう。国民、納税者が間違いを訂正したものに対して『バカにするな』と言っているわけですよね。間違いじゃないなら、それを論理的に説明すればいい。いきなり名誉毀損とは、論理的に釈明できないことの裏付けです」

https://hanyokusan.wordpress.com/ 翼賛体制の構築に抗する 「言論・報道・表現者」の会

 2015年2月23日日刊ゲンダイ

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