「辺野古埋め立て承認」に抗議 オリバーストーン氏ら、アメリカの文化人29人が。

映画監督のオリバー・ストーンさんやマイケル・ムーアさん、言語者ノーム・チョムスキーさんらアメリカの文化人29人が、アメリカ軍の普天間飛行場を名護市辺野古に移設する計画について反対する声明を発表した

声明では、そもそも沖縄県に米軍が駐留していること自体を、「返還に条件がつくことは本来的に許されない」と批判。「埋め立て承認は沖縄県民の民意を反映したものではありません」「今回の合意は長年の沖縄の人々の苦しみを恒久化させることにもつながります」などとし、「普天間は沖縄の人々に直ちに返すべきです」と結んでいる。以下、声明を全文引用する。

世界の識者と文化人による、「沖縄の海兵隊基地建設にむけての合意」への非難声明

私たちは沖縄県内の新基地建設に反対し、平和と尊厳、人権と環境保護のためにたたかう沖縄の人々を支持します。

 私たち署名者一同は、2013年末に安倍晋三首相と仲井真弘多沖縄県知事の間でかわされた、人間と環境を犠牲にして沖縄の軍事植民地状態を深化し拡大させるための取り決めに反対します。安倍首相は経済振興をエサに、軍港をともなう大型の海兵隊航空基地を作るために沖縄北東部の辺野古沿岸を埋め立てる承認を仲井真知事から引き出しました。

 辺野古に基地を作る計画は1960年代からありました。それが1996年に掘り起こされ、前年に起こった少女暴行事件もあり当時沖縄で最高潮に達していた反米軍基地感情を鎮めるために、日米政府は、宜野湾市の真ん中にある普天間基地を閉鎖して、辺野古の新基地にその機能を移転させようと計画しました。辺野古は稀に見る生物多様性を抱え、絶滅の危機にある海洋哺乳動物、ジュゴンが棲息する地域です。

 仲井真知事の埋め立て承認は沖縄県民の民意を反映したものではありません。知事は2010年の知事選直前に、それまでの新基地容認姿勢を変更し、「普天間基地移設は県外に求める」と言って、新基地反対で一貫していた候補を破って当選しました。近年の世論調査では県民の辺野古新基地への反対は7割から9割に上っていました。今回の仲井真知事埋め立て承認直後の世論調査では、沖縄県民の72.4%が知事の決定を「公約違反」と言っています。埋め立て承認は沖縄県民に対する裏切りだったのです。

 在日米軍専用基地面積の73.8%は日本国全体の面積の0.6%しかない沖縄県に置かれ、沖縄本島の18.3%は米軍に占拠されています。普天間基地はそもそも1945年の沖縄戦のさ中、米軍が本土決戦に備え、住民の土地を奪って作りました。終戦後返還されるべきであったのに、戦後70年近く経っても米軍は保持したままです。したがって、返還に条件がつくことは本来的に許されないことなのです。

 今回の合意は長年の沖縄の人々の苦しみを恒久化させることにもつながります。沖縄は、日本による17世紀初の侵略に始まり、19世紀末の日本国への強制併合を経て、1944年には、米軍の襲撃を控え、天皇制を守るための時間稼ぎの要塞とされました。沖縄戦では10万人以上、住民の4分の1にあたる人々が殺されました。戦後、米軍政下において基地はさらに増えました。沖縄は1972年に日本に「返還」されたものの、基地がなくなるとの沖縄住民の希望は打ち砕かれました。そして今日も、沖縄県民は基地の存在によってひき起こされる犯罪、事件、デシベル数の高い航空機の騒音や、環境汚染による被害を受け続けています。戦後ずっと、沖縄の人々は米国独立宣言が糾弾する「権力の濫用や強奪」に苦しめられ続けています。その例として同宣言が指摘する「われわれの議会による同意なしの常備軍の駐留」もあてはまります。

 沖縄の人々は、米国の20世紀における公民権運動に見られたように、軍事植民地状態を終わらせるために非暴力のたたかいを続けてきました。生活を脅かす実弾砲撃訓練に対し演習場に突入して阻止したり、米軍基地のまわりに人間の鎖を作って抵抗を表現したりしました。大規模なデモが時折持たれ、約10万人-人口の10分の1にもあたる人々が参加してきています。80代の人たちが辺野古基地建設を阻止するために立ち上がり、座り込みは何年も続いています。県議会は辺野古基地反対の決議を通し、2013年1月には全41市町村首長が、オスプレイ配備撤回と県内移設基地の建設を断念するよう政府に求める建白書に署名しました。

 私たちは、沖縄の人々による平和と尊厳、人権と環境保護のための非暴力のたたかいを支持します。辺野古の海兵隊基地建設は中止すべきであり、普天間は沖縄の人々に直ちに返すべきです。

2014年1月

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