志賀原発2号機のトラブル続発について北陸電力と県へ申し入れ(11月20日)

志賀原発2号機のトラブル続発について北陸電力と県へ申し入れ(11月20日)

● 北陸電力申入書 ●  ● 石川県申入書 ●


2009年11月20日

北陸電力(株)
社長 永原 功 様

石川県平和運動センター
代 表 柚木  光
社民党石川県連合
代 表 宮下登詩子
能登原発差止め訴訟原告団
代 表 堂下 健一
原発震災を案じる石川県民
世話人 中垣たか子
命のネットワーク
代 表 盛田  正

申 入 書

 定期検査中の志賀原子力発電所2号機でトラブルが相次いでいます。7月10日から4ヶ月あまりで7回ものトラブルが発生、しかもその内容をみれば原子炉内への初めての異物混入、初めての火災発生、そして非常用発電機2台の同時トラブルなど、重大事故につながらなかったとはいえ、看過できない深刻な事態が起きていると考えざるをえません。
貴社は昨年3月、県や志賀町へ2号機の再稼動の申し入れをするにあたって、再発防止対策を完了し、志賀2号機の全設備の健全性を確認し、手順書も含めた安全対策の総点検を終えたことを報告し、再稼働の了承を受けました。これに対し私たちは、貴社の再発防止の取り組みは内実が伴わず、志賀原発の危険性と貴社の体質は何ら変わっていないことを、具体的事実を列挙する中で明らかにし、再稼働了承を批判してきました。相次ぐトラブルは、あらためて再稼働の申し入れが適切でなかったことを明確に示しています。
 貴社はさる10月19日、石川県原子力環境安全管理協議会において、その時点での定期検査中のトラブル6件に対する原因究明と対策を明らかにしました。現場作業の質の劣化が深刻であり、手取り足取り指示しないとミスが起こる現状が貴社の報告からも浮き彫りとなっています。また貴社の管理能力に問題があることも明らかです。
 問題はこれで今後のトラブル、さらには重大事故が防げるのかということです。従来から指摘してきたように、貴社の対策は個別の事故・トラブルに対する再発防止策だけで、その背景にある構造的な問題に踏み込んだ分析や原因究明は全くなされておらず、したがって抜本的な対策も何ら示されていません。
 2003年度には1号機で25件の連絡対象となる「事象」が発生しました。しかし2年後には10件へと大幅に減少させています。ところが今回は2号機でトラブルが続発しています。しかもかつてない人為ミスの続発です。果たしてわずか数ヶ月の定期検査のために全国各地から集まってくる約1,600人の作業員の能力や技能、経験などについて貴社は把握できているのでしょうか。「マイプラント意識の向上」という掛け声や、個別の「作業手順の改善」で果たしてミスは防止できるのでしょうか。他の電力会社でも同様に人為ミスの増加に直面しており、原子力業界を取り巻く構造的な問題として捉え、根本的な原因究明にあたるべきではないでしょうか。
 原発は本質的に危険なものであり、運転中、定期検査中を問わず、些細なミスであっても重大事故につながる可能性があるという認識を常に持つべきです。今回の非常用ディーゼル発電機のトラブルについて現在、原因究明の作業が続けられていますが、従来と同様、経営判断優先の中で再稼動のスケジュールが立てられるならば、重大な事故につながるのではないかと懸念せざるをえません。そこで以下6項目の要望をさせていただきます。

1.今回のトラブル続発を踏まえ、昨年3月、再発防止対策が完了したとした貴社の判断の誤りを徹底検証し、問題点を明らかにすること。

2.根本的な原因究明と抜本的な対策を示し、その取り組みが県民から確認されるまでは2号機の運転再開の申し入れをしないこと。

3.人為ミスの原因究明と防止対策の確立にあたっては、原子力業界を取り巻く構造的変化(電力市場自由化による安全コストの削減と協力会社へのしわ寄せ、発電所労働者の労働条件の悪化、人材の流出、未経験労働者の増加、熟練技術者の減少・高齢化など)を踏まえ検討すること。

4.貴社は人為ミス防止対策の柱の1つとしてマイプラント意識の向上を掲げるが、原発が2基しかない北陸電力は、定期検査の作業の多くを全国の発電所をまわる「渡り鳥」的作業員に依存せざるをえない。事業規模の小さな貴社が原発を運転することの妥当性も含め検討すること。

5.定期検査中のミスも重大事故につながるという認識を持つこと。

6.貴社が社外のメンバーを集めて発足させた再発防止対策検証委員会は、「第三者」を装いつつも実態は実質的な「身内」を集めて貴社からの報告を追認するだけの「偽装委員会」である。貴社の取り組みに「第三者のお墨付き」を与えることのみを目的とした再発防止対策検証委員会はただちに解散すること。


2009年11月20日

石 川 県 知 事
谷 本 正 憲 様

石川県平和運動センター
代 表 柚木  光
社民党石川県連合
代 表 宮下登詩子
能登原発差止め訴訟原告団
代 表 堂下 健一
   原発震災を案じる石川県民 
世話人 中垣たか子
命のネットワーク
代 表 盛田  正

申 入 書

 定期検査中の志賀原子力発電所2号機でトラブルが相次いでいます。7月10日から4ヶ月あまりで7回ものトラブルが発生、しかもその内容をみれば原子炉内への初めての異物混入、初めての火災発生、そして非常用発電機2台の同時トラブルなど、重大事故につながらなかったとはいえ、看過できない深刻な事態が起きていると考えざるをえません。
知事は昨年3月21日、2号機の再稼動の是非を判断するにあたって、志賀2号機の全設備の健全性を確認し、手順書も含めた安全対策の総点検を終えたとする北陸電力からの報告を受け、再稼働を了承しました。これに対し私たちは、北陸電力の再発防止の取り組みは内実が伴わず、志賀原発の危険性と北陸電力の体質は何ら変わっていないことを、具体的事実を列挙する中で明らかにし、再稼働了承を批判してきました。相次ぐトラブルは、あらためて再稼働了承が拙速だったことを明確に示しています。
 北陸電力はさる10月19日、石川県原子力環境安全管理協議会において、その時点での定期検査中のトラブル6件に対する原因究明と対策を明らかにしました。現場作業の質の劣化が深刻であり、手取り足取り指示しないとミスが起こる現状が、北陸電力の報告からも浮き彫りとなっています。また北陸電力の管理能力に問題があることも明らかです。
 問題はこれで今後のトラブル、さらには重大事故が防げるのかということです。従来から指摘してきたように、北陸電力の対策は個別の事故・トラブルに対する再発防止策だけで、その背景にある構造的な問題に踏み込んだ分析や原因究明は全くなされておらず、したがって抜本的な対策も何ら示されていません。
 2003年度には1号機で25件の連絡対象となる「事象」が発生しました。しかし2年後には10件へと大幅に減少させています。ところが今回は2号機でトラブルが続発しています。しかもかつてない人為ミスの続発です。果たしてわずか数ヶ月の定期検査のために全国各地から集まってくる約1,600人の作業員の能力や技能、経験などについて北陸電力は把握できているのでしょうか。「マイプラント意識の向上」という掛け声や個別の「作業手順の改善」で果たしてミスは防止できるのでしょうか。他の電力会社でも同様に人為ミスの増加に直面しており、原子力業界を取り巻く構造的な問題として捉え、根本的な原因究明にあたるべきではないでしょうか。
 原発は本質的に危険なものであり、運転中、定期検査中を問わず、些細なミスであっても重大事故につながる可能性があるという認識を、北陸電力も県も常に持つべきです。このまま従来と同様に、北陸電力のスケジュールに合わせて行政の手続きが行われ再稼動が了承されてしまうのでは、重大な事故につながることを懸念せざるをえません。そこで以下7項目を要望させていただきます。

1.2号機への対応について
(1)昨年3月の2号機再稼働を了承した知事の判断は拙速だったことを確認し、今回のトラブル続発を踏まえ、再稼動を了承した一連の経緯を徹底検証し、県と北陸電力双方の問題点を明らかにすること。
(2)根本的な原因究明と抜本的な対策が示され、取り組みが確認されるまでは2号機の運転再開を認めないこと。
(3)人為ミスの原因究明と防止対策の確立にあたっては、原子力業界を取り巻く構造的変化(電力市場自由化による安全コストの削減と協力会社へのしわ寄せ、発電所労働者の労働条件の悪化、人材の流出、未経験労働者の増加、熟練技術者の減少・高齢化など)を踏まえ検討するよう北陸電力を指導すること。
(4)北陸電力は人為ミス防止対策の柱の1つとして「マイプラント意識の向上」を掲げるが、原発が2基しかない北陸電力は、定期検査の作業の多くを全国の発電所をまわる「渡り鳥」的作業員に依存せざるをえない。事業規模の小さな北陸電力が原発を運転することの妥当性も含め検討するよう北陸電力を指導すること。

2.県の原子力行政について
(1)定期検査中のミスも重大事故につながるという認識を持ち、北陸電力を指導すること。
(2)電力会社に対する要請や質問、そして電力会社からの回答は全て文書に残し、北陸電力との緊張関係を確立すると同時に県民から見える関係を築くこと。
(3)原子力環境安全管理協議会のあり方の見直しや安全協定の改定など、県の原子力行政を抜本的に見直すこと。

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