北陸電力に対し抗議文を送付(3月20日)

2007年3月20日

北陸電力株式会社
 代表取締役社長 永原 功 様

石川県平和運動センター
代 表 嶋垣 利春

抗 議 文

3月15日、志賀原発1号機で1999年6月の定期検査中、原子炉が誤って臨界に達し緊急停止していたことが明らかになった。同年6月18日午前2時18分、制御棒が手順ミスで原子炉から抜けたため、原子炉が制御不能の臨界状態となり出力が上昇。15分後の同18分、制御棒が手動で挿入されようやく事態は収束したが、原子炉圧力容器の蓋も格納容器の蓋も開いたままで緊急装置も作動しなかったという。制御棒3本が抜け落ちる事故は国の安全評価審査指針でも想定されていない。日本初の臨界事故であった。あってはならない原子炉心臓部の大事故であり、ひとつ間違えば大惨事であった。
当時の当直長は、原子炉の緊急停止という安全協定に基づく報告事項に該当したにもかかわらず、県や志賀町への報告を怠った。意図的と思わざるをえない。さらに連絡を受けた発電所長は記録を改ざんし隠ぺい、保安院へも報告しないことを決めた。4日前に非常用ディーゼル発電機のクランク軸のひび割れが発覚しており、2号機建設の地元了解に危機感をもっての判断であったことは想像に難くない。たまたま8年後のいま、発覚したが、この重大な事態を永久に闇に葬り去ろうとした悪質な組織的隠ぺい工作が展開されたのである。
まず、今回の臨界事故は、明確な保安規定違反である。保安規定違反は原子炉設置許可の取り消し、または1年以内の原子炉の運転停止に該当する(原子炉等規制法第33条)。臨界事故の重大性から考え、私たちは当然許可の取り消しに該当するものと考える。さらに悪質な隠ぺい工作も加わり「原子炉の運転を的確に遂行するに足りる技術的能力」という許可基準(同法24条)に反することも明白である。貴社は原発を運転する能力も資格もないと私たちは断言する。
さらに石川県や地元志賀町などと締結した安全協定を破った責任も重大である。安全第一に、些細なトラブルでも通報するようにこの間、協定は見直しが重ねられてきたが、県民はそういう貴社の姿勢にだまされ続けてきたのである。こういう重大な背信行為があった以上、自治体は安全協定に基づき二度と運転再開を認めるようなことがあってはならないと考える。
石川県平和運動センターは志賀原発が着工して以降、事故や不正がある毎に抗議の申し入れをおこなってきた。そのたびに聞かされてきたのが「原因の徹底究明と再発防止策の徹底」である。いま、多くの県民にとってこれほどむなしい言葉はない。もはや残された「再発防止策」はただ一つ、貴社が原発から撤退することである。

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